ラウール・カストロ前玖議長の死亡説流れる

    キューバの前共産党第1書記、元国家評議会議長で、引退後も事実上の最高権力者と見なされてきたラウール・カストロ陸軍大将(90)の死亡説が数日来、非政府メディアで流されている。

   それによれば、ラウールは7月31日、脳内出血と内臓不全で死去した、という。政府は否定も肯定も一切していない。過去にも死亡説が流れたことがあり、「敵陣」が打ち上げた観測気球(打診気球)との見方もある。

   逆に「死んだ振り」して、身内の反逆者をあぶり出す、という罠ではないかとの見方も成り立つだろう。

   ラウールには昨年来、「結腸癌、食道癌、肝硬変に冒されている」との「噂」も流れている。 

   ラウールは、全国的な抗議行動が起きた翌日の7月12日、共産党緊急政治局会議に出席した。また17日、ミゲル・ディアスカネル第1書記兼大統領ともに革命体制支持集会に姿を現した。だが以来、公共の場に現れたことはない。

   玖革命の原点である26日のモンカーダ兵営襲撃蜂起の68周年記念日の行事にも出席しなかった。

   「奇妙な符合」もある。7月半ばから、現役の陸軍東部軍団司令官アグスティン・ペーニャ将軍、4人の退役将軍、元大佐1人の計6人の軍人が死亡したが、死因は全く公表されていない。この不可解な「事件」に続いて流れたのが、ラウール死亡説だ。

   もし死亡したのだとすれば、7月11日の抗議行動後、不安定な社会状況が続いているさなかに、ディアスカネル大統領は最大の後ろ盾を失ったことになる。国内の不満派、反体制派、米国内の玖系社会の反革命派、米政権などは勢いづくだろう。

   国内不満派の抗議行動を弾圧すれば、ディアスカネル政権は重大な危機に陥る公算が大きい。90歳2か月のラウールが存命だとしても、先が長いとは考えられず、遅かれ早かれ、「ラウールの去った危機」は必ず訪れる。

▼ラウールが出現

   ラウール・カストロは9月11日、革命軍(FAR)内に予防部隊(通称「赤ベレー」)を創設した40周年記念日の式典を主宰した。ラウールが人前に姿を現したのは7月17日以来。

   革命軍相時代の1981年のこの日、ラウールは国民保護と治安維持のためとして予備部隊を創設した。内務省軍特殊部隊「黒ベレー」に次ぐ治安出動部隊だが、7月11日の対政府抗議運動時に黒ベレーは警察部隊支援のため出動したが、赤ベレーは出動しなかった。

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