ペルー国会議長が大統領に「国家安定」を注文

   ペルー政治における2重構造が明確になってきた。行政府の長ペドロ・カスティージョ大統領の「未熟さ」が混乱を招いているのと、その政権党PL(自由ペルー)党が国会内で少数派であるため国会議長が立法府長の地位を最大限に活用し政治的影響力を行使しているためだ。

  カスティージョ大統領の「混乱」は、PL内がカスティージョ派と、党首ブラディーミル・セローン書記長派に割れていることにもよる。セローン派大番頭のギド・べジ―ド首相の退陣を求める世論が高まりつつあり、カスティージョは政権党と国会(世論)の板挟みになっている。

  1980年代前半のべラウンデ政権の与党、人民行動(AC)党員だったマリーアデルカルメン・アルバ国会議長は8月9日、カスティージョに公開メッセージを送り、早急に国家評議会を開き、「国家安定のメッセージ」を発するよう求めた。

  国家評議会は立法、行政、司法3権の長、オンブズマン、国家司法会議長、検事総長、国家選挙審議会(JNE)議長、会計検査院長で構成される最高機関の中枢機関。

  アルバ議長はまた、べジ―ド首相以下の閣僚人事の不透明さを指摘し、同首相らの「解任」を事実上求めている。「国家安定」と同首相の存在が相容れないと考えているからだ。

  一方、9日発表のIPC世論調査によれば、就任後2週間近いカスティージョ大統領の支持率は40%、不支持は47・7%、12・3%は「わからない」だった。

  カスティージョとセローン党首との関係については、「大統領は自主的に判断している」が32・2%、「セローンの言いなり」58・1%だった。「セローン介入」の是非については、良しとする者は8・5%、反対は85・8%だった。

  カスティージョ政権への信頼は、「大いに信頼」25・8%、「あまり信頼していない」45・4%、「まったく信頼していない」25・9%。

  新政権の望ましい思想傾向では、中道33%、穏健左翼31%、穏健右翼10・6%、極左4・4%、極右2・6%、わからない・無回答18・35だった。 

  アルバ国会議長については、支持34・9%、不支持40・3%。国会での政権信任投票実施の是非は、多数派が「必要」と答えた。

▼エボ・モラレスが来訪

  モラレス元ボリビア大統領は8月10日、ペルー教育労働者全国連盟(FENATEPERU)の招きでペルー入りした。この連盟はカスティージョ大統領が教員時代に結成した教組。

  モラレスは7月末の大統領就任式に出席したばかりで、短期間に2度目の訪秘。本人によれば、ボリビア・ペルー両国民間の「技術的チーム」に参加するための訪問。

  カスティージョの顧問になるのかとの質問に対しては、それを否定した。   


 

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