ペルー外相が辞任、カスティージョ政権早くも躓く

   ペルーのカスティージョ政権は発足後3週間の8月17日、主要閣僚であるエクトル・べハル外相(85)が辞任、早くも躓(つまず)いた。

  原因は外相就任前の今年2月、べハルが左翼陣営の会合で、「ペルーでのテロリズムは海軍が始めた。海軍はCIAから訓練を受けていた」と語っていたこと。海軍司令部は8月16日、声明で外相の過去の発言を糾弾。べハルは辞任に追い込まれた。

  その2月の会合でべハルは、「センデロ・ルミノソ(SL,輝く道)の多くはCIAがでっちあげたものだ」とも語っている。

  べハルは国際社会を飛び周る外相として高齢が危ぶまれていたが、舌禍事件が災いした。ぺドロ・カスティージョ大統領は後任外相の人選に入った。

  海軍は2月のべハル発言から5カ月余り、べハル糾弾の機会をうかがっていたことになる。ペルー国軍で最も保守的で政治的右翼なのは海軍。SLの最高指導者アビマエㇽ・グスマン受刑囚は、終身刑でリマの外港カヤオ港の海軍司令部内の刑務所で服役している。

  べハルはキューバ革命後の1960年代、ペルーでゲリラ組織を結成し活動、逮捕された。だが恩赦され、68年10月の軍事クーデターで発足したフアン・べラスコ=アルバラード将軍大統領の「軍事革命政権」に参加した。その後は大学教授などを務めた。

  わずか3週間の期間に外相として残した実績は、マドゥーロ・ベネズエラ政権打倒路線の外交政策調整機関「リマグループ」からの脱退と、同政権との関係正常化の話し合いに入ったことぐらいだ。

  辞任後べハルは、「海軍内の一部と国内極右勢力は、ペルーが独立・主権外交を展開するのを阻止したがっている」と指摘した。

▼後任外相就任

  新外相に8月20日、オスカル・マウールトゥア元外相(74)が就任した。アレハンドロ・トレード元大統領の下で外相だった。トレードの政党PP(可能なペルー)にカスティージョ現大統領は長年、所属していた。カナダ、ボリビア、タイ、エクアドールに大使として駐在した。ワシントン駐在経験もある。

 

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言