ペルー経済相に専門家フランケ就任、外相は元ゲリラ

      ペルーのペドロ・カスティージョ大統領は7月30日、同日既に就任していた16人の閣僚とは別に経済・財務相と司法・人権相を任命、就任式を済ませた。両相は、ギド・べジ―ド首相就任に異議を唱えて就任していなかった。これで全18閣僚がそろった。

  とくに重要なのは、ペドロ・フランケ経済相(60)だ。経済学修士で、貧困・社会・経済を関連させて考察する社会派エコノミスト。中央準備銀行(BCR)や世界銀行に勤務し、1990年代以降、さまざまな国会議員や政治団体の政策顧問を務めてきた。

  今年の大統領選挙では、穏健左翼ベロニカ・メンドサ候補の政策顧問だった。だがメンドサは4月11日の第1回投票で決選進出を果たせず、決選に進出したカスティージョの顧問になった。メンドサとカスティージョは政策協定を結び、フランケの顧問就任が決まった。

  国際金融界、ペルー金融界、貧困渦巻くペルー社会の実態に精通した人物の経済相就任は、従来の主流、新自由主義路線とは一線を画す人事であり、歓迎されている。

  伝統的左翼色の濃いべジ―ド首相就任には反対世論が形成されつつあり、同首相が躓いた場合、フランケが首相を兼務する可能性もささやかれている。

  一方、外交政策を担うエクトル・べハル外相は85歳で閣僚として最高齢であり、9月には86歳になる。社会学博士、社会政策学修士で、大学教授を務めた。

  キューバ革命直後の1960年、チェ・ゲバラ路線のゲリラ組織「民族解放軍」(ELN) をペルーで結成。62年には渡玖しゲバラに会い、ゲリラ訓練を受けた。

  ゲリラ活動中の66年逮捕されたが、67年に発足したフアン・べラスコ=アルバラード将軍の「軍事革命政権」下の70年恩赦され、同政権の社会動員支援機関に入った。これが公職の始まりだった。

  国際社会を駆け巡る外相ゆえに高齢への懸念はあるが、30日には、大統領就任式に出席したホルヘ・アレアサVEN外相と会談し、過去5年間疎遠だった両国関係の改善で合意した。

  従来のラ米保守・右翼外交路線と米外交との協調を基盤としたペルー外交は、「左翼・進歩主義」色が鮮明になるもよう。秘米間の軍事協力関係の見直しも、将来的にありうるだろう。

  べハルは記者団からベネズエラについて訊かれると、「問題はベネズエラではなく、ラ米諸国をいかによりよくするかだ」と答えている。

      農地・灌漑外相には、全国農地連盟(CNA)会長だったビクトル・マイタが就任した。「家族農業」の推進者である29 歳の専業農民だ。農業生産・輸出を寡占する大企業の市場支配に挑戦する新政権の意向を反映している。

     べラスコ軍政下の1969年に農地改革が実施されたが、マイタは「その改革は終わっていない」として、「第2次農地改革」を実施する方針を示した。

  

   

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