メキシコ大統領がラ米・カリブ統合機構創設を提唱

     AMLOメキシコ大統領は7月24日、墨都チャプルテペク城で催されたCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)外相会議の開会式で演説。 ワシントンに本部があり、米政府の強い影響下にある米州諸国機構(OEA)に替わりうる、「いかなる国の下僕でもないラ米・カリブ諸国の統合機構、EU(欧州連合)のような機構の創設」を提唱した。

 この日は南米北西部諸国の解放者にしてラ米統合推進者だったベネズエラ人シモン・ボリーバル(1783~1830)の生誕238周年記念日。また今年はメキシコ独立200周年、アステカ王国がスペインに滅ぼされてから500周年でもある。

 大統領は、こうした歴史を踏まえて発言。国土の北半分を米国から1848年に奪われた歴史的悲劇にも言及した。

 この式典には、CELAC外相団だけでなく、駐墨諸国大使たちも招かれており、AMLOは国際社会に向けて広く提唱した。

 LAC(ラ米・カリブ33カ国)には、故ウーゴ・チャベスVEN大統領の奔走外交により2011年12月に発足したCELACがある。だが各国首脳の思想の違いや、米国による分断工作によってLAC域内が分断され、発足後10経つ今、LAC統合という所期の目的達成からほど遠い状況にある。

 マルセロ・エブラ―ル墨外相はこの日、「CELACは熟考の時にある」と明言している。AMLO政権がCELACに替わる新機構創設を目指しているのか否かは不明。CELACがLAC統合機関として活性化されれば、それでよいと考えているのかどうかもわからない。

 AMLOは演説で、米国が1823年のモンロー教義宣言でLAC支配に傾斜したことに触れ、「米国は今なおブラーボ川(米国名グランデ川)以南の諸国(LAC)に敵対する政策を捨てておらず、域内には米国の影響力が充満している」と指摘。

 「侵略を特徴とする200年に及ぶ米政策は受け入れられない」として、超大国の好みに応じてLAC首脳の首を挿げ替えたり、制裁、介入、排除、封鎖、政策押し付けを恣(ほしいまま)にしてきた米政府を強く批判した。

 だが「米国に統合するのか、それとも米国と決別するのか、という二者択一論は棚上げし、主権に基づき現実的に考えねばならない」として、OEAに替わり得る機構創設を提唱した。

 また革命から62年を経た社会主義キューバについて発言。玖革命と玖政府に対しては立場の違いがあるのを承知していると前置きし、(米国に屈せず)抵抗し主権を維持してきたキューバは「尊厳賞」に値し、「人類の遺産」でもあると称賛した。

 大統領は1994年以来の米加両国との通商統合で、今では米軍事部門はメキシコ製の自動車部品に依存していると指摘。「これは誇っているのではない。統合が進んでいる状況に触れたまでだ」と付け加えた。

 さらに米州関係について言及。30年前には世界市場の占有率は米国が12%台、中国は1%だったが今日、中国が上回っており、30年後には中国が64・8%、米国4~10%になると予測されると紹介、「この隔たりをなくそうと米国が軍事力を行使しないことを祈る」と語った。

 エブラ―ル外相と、来賓の在米チリ人作家イサベル・アジェンデも挨拶した。

▼キューバ外相が対米非難

 ブルーノ・ロドリゲス玖外相は7月24日、メキシコ市でのCELAC外相会議で発言。「米政府とフロリダ州政府は介入の口実づくりのため、偽りの情報を流してキューバに秩序破壊と暴力を起こそうとしている」と非難した。

 また「キューバに騒擾状態はない。それを起こそうとした策謀を、国民の多数派は断固、打ち破った」と強調。演説でキューバを讃えたAMLO大統領とメキシコの主導に感謝した。 

▼宇宙局創設で合意

 CELAC外相会議は7月24日、ラ米・カリブ宇宙局(ALCE)創設で合意、文書に署名した。またメキシコで9月開かれるCELAC首脳会議の議題を決めた。 

 

  

  

  



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