チリ制憲会議議長にマプーチェ知識人女性を選出

      チリ制憲会議(CC)は7月4日、サンティアゴ市内の旧国会議事堂庭園に特設された会議場で初の全体会合(本会議)を開き、正副議長を選出した。CCは9ヶ月ないし12カ月をかけて、ピノチェー軍政期の1980年に制定された現行憲法に替わる民主憲法を起草する。

  CC代議員155人は5月半ばのジェンダー平等選挙で、男性78人、女性77人が選ばれた。うち17人は先住民族で、その最大民族集団マプーチェ(代議員7人)から、エリーサ・ロンコーン代議員(58)が議長に選出された。

  ロンコーンは、テムーコ市にあるラ・フロンテ―ラ大学卒の英語教授で、サンティアゴ大学、カトリック大学で教鞭をとる。メキシコの首都自治大学言語学教授でもある。また智先住民語学教育の専門家でもある。

  マプーチェの中心的居住地域のあるラ・アラウカニーア州に生まれ、少女時代には学校まで片道8kmを徒歩で通った。学生時代からピノチェー軍政と闘っていた。

  民族の正装をしたロンコーンは就任演説をマプドゥングーン(マプーチェ語)とスペイン語でぶち、「多民族主義、先住民族自決、諸権利確立(水利、大地、環境、女性、虐げられた他者との連帯など)を基にチリを再建したい」と述べた。

  副議長には、バルパライソ大学教授で法学博士のハイメ・バッサ(44)が選ばれた。左翼「拡大戦線(FA)」の一翼を担う「社会協約(CS)」に所属する。

  ロンコーンは、蘭ハーグ社会研究所(修士)、蘭ライデン大学(社会科学博士)、加レジーナ大学(修士)に留学。智カトリック大学では文学博士号を取得した。チリきっての知識人の一人で、1992年にはマプーチェ旗「ウェヌフォーイェ」の制作に参画した。

      智政府はCC発足を祝福し、財政支援や側面支援を確認するとともに、「CCは過去を尊重しつつ現在と未来を考えてほしい」と述べた。保守・右翼勢力を基盤とするピニェーラ政権の立場が滲み出ている。

  初会合終了後、ロンコーンは記者団に対し、「私たちマプーチェは姿を見えなくされ抑圧され投獄されてきたが、本日、民族や仕事に誇りが持てるようになった。チリの他国民との関係に重要な一里塚が築かれた。新しい歴史がつくられた」と述べた。

 


  

  


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