チリ予備選まで2週間、左右両翼候補指名が焦点

     チリではきょう7月4日(日)、制憲会議(CC)の初会合が開かれるが、この日は18日の次期大統領選挙候補者指名のための会派別予備選まで2週間となるため、政界の話題は予備選に飛んでいる。

  11月21日実施の大統領選挙では、左翼勢力と、ピニェーラ現政権の保守・右翼与党連合の争いとなる公算が大きい。

  キリスト教民主党(DC)に代表される中道保守と社会党(PS)をはじめとする中道左翼が5月半ばの制憲会議代議員選挙などで大きく後退したからだ。

  左翼と保守・右翼では、セバスティアン・ピニェーラ大統領の支持率が20%を切っていることなどから、左翼がやや有利になると予測されている。

  左翼陣営の予備選では、共産党(PC)のダニエル・ハドゥエ首都サンティアゴ・レコレタ区長(54)と、社会協約党(CS)のガブリエル・ボリッチ下院議員(35)が統一候補の座を争う。

  ハドゥエはパレスティーナ人移民の3世で、建築家にして社会学者。レコレタ区長は3期目。首都中心部のサンティアゴ中央区長にはPCのイラシ―・ハスレル区長が就任し、最大票田の首都圏でPCが勢いを持つ。

  PCは1970年の大統領選挙に詩人パブロ・ネル―ダを出馬させたが、社会党のサルバドール・アジェンデを勝たせるために候補を下り、PS、PC両党中心の人民戦線(人民連合)を組み、アジェンデ社会主義政権を誕生させた。ハドゥエは、故ネルーダ以来のPC有力候補。

  ボリッチは南端のマガジャネス・智南極州が基盤で、ユーゴスラヴィア移民の子孫。2013年の学生運動でチリ大学学生連合議長として手腕を発揮、政界入りした。若さが売りだが、経験や知名度からハドゥエが優勢。

  一方、保守・陣営では、富裕層を代表する独立民主同盟(UDI)のホアキン・ラビン首都ラ・コンデ区長(67)ら4人が予備選に臨む。ピニェーラ第1期政権で教育相や社会開発相を務め、大統領選挙にも過去2回出馬したラビンが有利と見られている。

  これまでの出馬候補者の支持率調査では、ハドゥエがラビンをやや上回っている。このため保守・右翼陣営は、ハドゥエへの中傷運動を続けてきた。

  予備選に出ない出馬希望者には、社会党のパウラ・ナルバエス、急進党(PR)のカルロス・マルドナードら4人がいる。

  2022年3月11日に就任する次期大統領は、制憲会議(CC)の新憲法起草過程の最終段階を見守り、新憲法承認の是非を問う国民投票を仕切る点でも重視されている。

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