キューバが「私企業」(法人)を認める

    キューバがついに「私企業」という企業形態を公認した。ミゲル・ディアスカネル大統領は4月の共産党大会で第1書記に就任したが、ソ連消滅後の90年代と並ぶ極悪の経済困難から脱出し、物資不足と自由の欠如への国民不満の高まりに対処するため、就任後最初の「新しい措置」をとった。

   同大統領とマヌエル・マレーロ首相が主宰した拡大閣僚会議は6月3日、零細および中小企業を私企業として存在させることを認めた。

   今年2月、政府は零細(自営業)部門の業種を2000強に拡大、党大会で承認した。90年代に始まる自営業はまさに「自営」であって、「法人」資格は認められていなかった。それが今後は法人資格を得ることになる。中小企業は長年求められていた。

   ただし、電子プログラマー、報道機関、翻訳・通訳業、獣医、会計士などは「戦略的分野」とされ、私企業資格は与えられない。

   政府は、国営企業が経済の中心であり、民営化はしない、との立場は維持している。今後、国営企業傘下や、政府要員による「偽装私企業」が出てくる可能性は否めない。

   これでキューバの企業体は、国営、協同組合、私企業の3種になった。革命直後の農地改革で生まれた小農は従来、唯一認められた私企業だった。零細・中小企業は1968年にすべて接収され、事実上閉鎖された。

   故フィデル・カストロは、その政策が過ちだったことを後年認めた。

★6月8日発売の月刊誌「世界」(岩波書店)7月号「世界の潮」欄掲載の拙稿「カストロ後時代のキューバ」を参照されたい。 

   

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