ペルー決選投票終了;まずケイコリード

      きょう6月6日、現地時間7時~19時、ペルー大統領選挙決選投票が実施された。既に開票が始まっている。

  ★世論調査機関IPSOSは6日夜、出口調査結果としてケイコ50・3%、カスティージョ49・7%と発表した。

  フランシスコ・サガスティ暫定大統領は投票後、「選挙結果を尊重してほしい」と両候補に向けて勧告した。激戦の場合、負けた候補が居直ったり、暴動を起こしたりすることがあるからだ。 

  4月11日に18人が出馬しての第1回投票で1位になった左翼の農村小学校教師ペドロ・カスティージョ(51、自由ペルー党)、同2位の右翼政治家ケイコ・フジモリ(46、人民勢力党)が政権の座をかけて臨んだ。

  当選者は、7月28日の独立記念日に就任する。任期は5年。

  選管要員のほか、15の国際監視団の計約150人が投開票を監視する。欧州連合(EU)、米州諸国機構(OEA )、米州選挙機関連合(UNIORE)などが含まれている。

  カスティージョは50日を超える決選選挙戦で当初20ポイント差をつけていたが、終盤戦で5ポイント差までケイコに詰め寄られた。その差は5月末から6月初めにかけて2ポイント差前後にまで縮んだ。「ケイコが上回った」とする調査も1~2ある。

  「差は1ポイント以下」、「ケイコがかすかに優勢」との情報もある。激戦、接戦であり、どちらが勝ってもおかしくない。

  投票は義務制。18歳以上の有権者2520万人がコロナ禍を超えて、どこまで投票所に足を運ぶか。投票率が上がれば、浮動票と棄権票が減り、確定票になる。それをより多く引き寄せた方が勝つだろう。

  真に激戦となれば、出口調査は意味を失い、最終結果は中央選管発表を待つことになる。混乱すれば、敗者側が異議を唱えるかもしれない。また、99万7000人の在外有権者の票も重要となる。

  最大の争点は、地下資源などを国有化し、富を国民の再分配するというカスティージョの民族主義経済路線か、31年続く従来の新自由主義路線維持のケイコか、の選択肢にある。

  カスティージョは「資源豊かな国に貧困はもうたくさんだ」と新自由主義を批判、ボリビア型の「市場重視の貧困救済政策」を前面に出している。ケイコはカスティージョの政策を「共産主義」と、ネガティブ攻撃に全力を挙げた。

  カスティージョは政策実現のため、制憲議会を開設し新憲法を制定すると公約。ケイコは父親から譲り受けた堅固な支持基盤に保守、右翼、財界、大手メディアの大多数の支持を加えて「反共戦線」を張り、カスティージョに肉薄してきた。

  決選3度目で過去2回苦杯をなめたケイコが当選すれば、ペルー初の女性大統領になる。父娘2代の最高権力者になる。

  カスティージョが政権に就けば、1968~75年のべラスコ=アルバラード軍事革命政権以来の変革政権になる可能性がある。

  ケイコの父アルべルト・フジモリ元大統領(82)は日系2世で「日本的要素」をある程度持っているが、ケイコは完全なペルー人、ラ米人であり、留学していた米国と親しい。夫はイタリア系米国人だ。「日系3世」を重視しすぎては、ケイコの政治体質を見失うだろう。

▼メキシコでは大型選挙実施

  メキシコで6月6日、国会下院議員500人全員、32州中15州知事、30州の州会議員、1923市の市会議員を選ぶ大型選挙が実施された。過去2年半のAMLO政権実績に対する評価が示される。

  ★政権党MORENA(国家刷新運動)と連立諸党は下院で過半数を獲得、AMLO体制は安定を維持した。

  

  


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