ボリビア統一地方選挙はほぼ現状維持か

   ボリビアで3月7日、統一地方選挙が実施された。昨年11月発足した社会主義運動(MAS)党のルイス・アルセ政権は、最初の選挙の洗礼を受けた。

   選出されるのは、9州知事、州会議員計568人、336市長、市会議員計4016人、このほか地方行政職約900人。有権者は710万人。

  政権党MASは前回選挙以来、オル―ロ、ポトシー、コチャバンバ、チュキサカ、ベニー、パンドの6州知事を握っている。野党はほぼ右翼だが、ラパス、サンタクルース、タリーハの3州知事をもつ。アルセ大統領としては政治首都のあるラパス州知事を奪回したいところだ。

  市長はMASが現在9割方を握っているが、ラパス、エル・アルト、コチャバンバ、サンタクルースの4大都市は野党に奪われている。MASは、この4都市の幾つかで勝利を狙う。

  この選挙には問題がある。2019年11月のクーデターの首謀者の一人で極右のルイス・カマ―チョは、地元サンタクルース州の州知事を目指している。カマ―チョを断罪できないところに、現政権の弱さがある。

  選挙戦でMASを応援したエボ・モラレス元大統領は7日夜、出口調査の結果を踏まえて、市長選で圧勝したと述べた。

  一昨年の政変は、国軍と警察が極右になびいた結果だった。アルセ政権は、軍と警察の指導部をほぼ全取っ換えしたが、これら2つの武装機関に対し、権力をまだ十分には確立していないのだ。

  ベニー州でも、非合憲のクーデター政権にお手盛りで就いた極右ジャニーネ・アニェスが知事選に出馬している。検察は彼女を起訴しているが、選管は出馬を認めてきた。

  正常化のための出直し大統領選挙で惨敗した衝撃から、まだ立ち直ってはおらず、今回「皆でMASに反対しよう」という連携運動を展開しているが、盛り上がっていない。大統領選挙の敗北は、1年間のクーデタ―政権が否定されたことを意味し、意気が上がらないのだ。

  このためカマ―チョ、アニェスのように地元州に籠って, 地元単位でMASに対抗するという戦術に転じている。

  クーデターで辞任を強制され、国民の流血を避けるため辞任したエボ・モラレス元大統領は、エル・アルト市などでMASの選挙戦を応援してきた。

▼MASがラパス州知事奪回

  知事選結果は3月8日、判明した。政権党MASはラパス、オル―ロ、ポトシー、コチャバンバ、パンドの5州、野党側はサンタクルース、ベニー、タリーハの3州で、それぞれ勝利した。残るチュキサカ州は未定。

  MASはラパスを奪回したが、ベニーを失った。サンタクルースは、2019年クーデターの首謀者だった極右ルイス・カマ―チョが圧勝した。これはアルセ政権にとり今後、不安材料になる。

      政治首都ラパスに隣接するエル・アルトの市長選は、MASの元国会上院議長で、モラレスと袂を分かったエバ・コパ(34)が勝利した。  

 

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