エクアドール決選はアラウスとラソの左右対決へ

   エクアドール(赤道国)の国家選挙理事会(CNE=中央選管)は2月19日、大統領選挙決選投票に進出する2番手の候補は、ギジェルモ・ラソ(65、CREO)に決定した、と発表した。

  ラソの第1回投票(7日)の得票率は19・74%(183万票)。同19・38%(179万票)の先住民候補ヤク・ペレス(51、パチャクティク)と超僅差で2位の座を争っていた。

 約4万枚のアクタ(開票結果記録表)の電脳集計率は100%に達し、2、3位が確定したという。

   決選1位進出は、アンドレス・アラウス(36、UNES)で、得票率は38・72%(303万票)。4月11日に予定される決選は、左翼・中道左翼・進歩主義路線のアラウスと、財界出身で保守・右翼のラソの左右対決となった。

  アラウスにとっては、中道左翼系の先住民候補ぺレスが相手でなく、戦いやすい。決選の当落決定票のかなりの部分を握るぺレスは、ラソと2週間も2位争いをしたため、決選ではどちらかと言えば、アラウスを支持しやすい。

  決選に向け、ぺレスは3位を不服として決選ボイコットに出ないかぎり、アラウスと支持を巡って条件闘争に入るはずだ。

  一方、太平洋岸グアヤキル市を勢力基盤とするラソは、保守・右翼に加え中道派の取り込みを図り、さらに中道左翼に切り込むだろう。

  4月の決選はアラウスが有利には違いないが、ラソはが北の隣国コロンビア政府の支援も得て、猛烈な上げ足取りの攻撃戦法を展開するはずだ。政権の座に挑戦すること3度目のラソだ。形振り構わぬネガティヴ運動に出るだろう。

  対するアラウスは、師と仰ぐラファエル・コレア前大統領の存在が強すぎると不利になるとの計算からか、バイデン米政権との融和的関係樹立など穏健的外交方針を示唆している。

▼OEAが選管に勧告

  赤道国大統領選挙に監視団を派遣している米州諸国機構(OEA)は2月22日、CNE(中央選管)に対し、4月11日の決選までの選挙日程を完全に実施するよう勧告した。

  アンドレス・アラウス候補も指摘しているが、モレーノ保守政権が選挙過程に介入し、決選進出候補2人が決まったいまもCNEは決選実施日程を明確にしていない。このため勧告することなった。

▼選管が一部開票記録書の再点検を承認

  赤大統領選挙第1回投票で3位となり決選進出を阻まれたヤク・ペレス候補は、開票不正を糾弾、全国全開票のやり直しを要求している。CNE(中央選管)は2月26日、署名欠落などの不手際が見つかった31のアクタ(開票集計記録書)に関係する開票のやり直しを受け入れた。

▼政権党が大統領を追放

 赤道国政権党「パイース同盟」(AP=「崇高な国家と主権」同盟)は3月3日、レニーン・モレーノ党首(現大統領)を除名した。モレーノは2月末に党首辞任を申し出ていたが、拒否され、解任・除名された。事実上の追放処分だ。

 2月7日の大統領選挙では、同党候補は1・54%しか得票できず、惨敗した。



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