エクアドール大統領選決選2位進出者、依然未定

      エクアドール大統領選挙は2月7日実施されたが、ほぼ10日経った16日になっても、決選に進出する2位候補が誰なのか、決まっていない。

  7日の第1回投票では、アンドレス・アラウス候補(36、UNES)が得票率37・71%で、4月11日予定の決選進出を決めた。ところが2位は、19・74%のギジェルモ・ラソ(65、CREO)と19・38%のヤク・ペレス(51、パチャクティク)が僅差で並び、判定できないままだ。ぺレスは先住民の政治家。

  国家選挙理事会(CNE=中央選管)は両候補および、米州諸国機構(OEA)選挙監視団の同意を得て、大票田グアヤス州の全票と、他の16州の票の半分の数え直しを決めた。これは「不正があった」と異議を唱えたぺレスの申し立てが受理されたため。

  ところが、「数え直しのための設備などが十分でない」との理由でCNEは15日、数え直し開始のための会合を中止。準備段階がまだ続いている。

  ラ米では今世紀になってから特に、接戦の大統領選挙では、当選者が圧勝しないかぎり、僅差で敗れた2位得票者が敗北を認めず、大荒れになる傾向がある。無論、不正がある場合も少なくない。今回は、混乱が決選前の段階で現れた。

  決選にラソが進出すれば、左翼アラウス対右翼ラソという左右対決構造になるが、アラウス対ペレスとなれば珍しい左翼同士の対決となる。

  開票に異議申し立てが出るのは、公明正大性、透明性が欠けるからだ。背景には、前回選挙でラソを決選で破ったレニーン・モレーノ現大統領の思惑があるようだ。

  モレーノは、左翼進歩主義路線のラファエル・コレア前大統領の後継候補だったが、政権に就いた後、政策を巡ってコレアと袂を分かち、政敵同士となった。今や政策的には財界出身のラソに近い。

  決選1位進出のアラウスはコレアの申し子で「若きプリンス」だ。アラウス対ペレスならば左傾大統領が生まれることになり、万が一、ぺレスが勝てば先住民大統領が生まれる。一方、ラソが決選に出れば、番狂わせで当選する可能性がある。

  このように複雑な状況のため、2位候補が決まりにくいのだ。だがモレーノの本音は、コレアの「プリンス」の決選当選を阻止することだろう。「最悪のアラウス」でなければ、「次悪のラソとぺレス」のいずれかで構わないというところだろう。

  モレーノは、コロンビアゲリラ組織「民族解放軍」(ELN)が「アラウスに選挙資金を提供した」という「証拠」を隣国コロンビアから既に取り寄せている。決選2位進出候補が決まれば、アラウスを揺さぶる一大選挙戦が展開されるはずだ。

▼選管は開票やり直しを否決

  CNEは2月17日、ヤク・ペレス候補が要求していた開票の大幅やり直しを、賛成2,反対1、棄権1、不参加1の2対3で否決した。


ha


   

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言