ボリビア政権党MASの党首にモラレスが復帰

  ボリビア政権党MAS(社会主義運動)の党首に11月17日、エボ・モラレス元大統領が復帰した。モラレスは昨年11月のクーデタ―で政権を追われメキシコ市、次いでブエノスアイレスで亡命生活を送り、党首の座を離れていた。だが10月の大統領・国会議員選挙に際し、亜国に居ながら選対委員長を務め、アルセ現政権を勝利に導いた。

 MASは21日、モラレスの拠点であるコチャバンバ州チャパレ―市で、10月選挙の選挙戦や結果について分析する党幹部会合を開く。ルイス・アルセ大統領、ダビー・チョケウアンカ副大統領、アンドロニコ・ロドリゲス上院議長、フレディ・ママ二下院議長が招待されている。

【正副両大統領は21日のMAS会合に出席し、モラレス帰国後初めて再会した。】

 モラレスはアルセ就任式翌日の9日、アルゼンチンから陸路帰国し、11日にチャパレ―に着くまで途中の各地で歓迎集会に臨んだが、正副大統領も国会両議長も馳せ参じなかった。アルセらは、MASの総帥モラレスと一線を画そうとしているかに見える。

 モラレスは、新政権の閣僚人事に際しアルセと2度電話で話し合った、と明かにしている。

 しかし来年3月7日には、州知事、州会議員、市長、市会議員を選ぶ統一地本選挙が実施される。アルセ政権の国内統治強化には圧勝せねばならず、モラレスのカリスマと政治力に頼る必要がある。

▼モラレスが亡命時の出来事を明かす

 エボ・モラレス元大統領は11月16日、チャパレ-市の拠点でテレスールのインタビューに応じ、昨年11月のクーデタ―当時、護衛8人は5万ドルの報酬と引き換えにモラレスの身柄をクーデター側か米国のいずれかに引き渡すよう2度買収されそうになった、と明かした。

 極右が政権を乗っ取ろうとしていた時であり、身柄引き渡しはモラレスの暗殺を意味していた。そこで自らの命と、ボリビア変革過程の将来の再開・継続のために辞任した、と明らかにした。

 一方、クーデターの陰謀に加担したルイス・アルマグロOEA(米州諸国機構)事務総長は、最近刊行されたインタビュー集の中で、昨年10月のボリビア大統領選挙の前、モラレスの連続再選出馬を促したことについて、当選させたうえで政変を起こす筋書きに沿っていたと告白した。その通りに事は運んだ。

▼ボリビア軍部最高幹部決まる

 ルイス・アルセ大統領は11月17日、国軍最高司令官にハイメ・サバラ空将を任命した。参謀本部長、陸海空3軍司令官も任命された。

 大統領は、昨年11月のクーデタ―に国軍中枢が関与したことから、新司令官たちに憲政への国軍従属を徹底認識するよう命じた。

 クーデター政権期に弾圧に関与した軍・警察、閣僚、州知事らの追及が既に始まっている。国外に逃亡した者もいる。

▼ボリビアがチリとの国交再開方針を表明

 ボリビアのロヘリオ・マイタ外相は11月18日、1978年以来途絶えているチリとの国交を中長期的に再開する方針を明らかにした。ただし「海岸領土回復」の主張は変えないと強調した。

 ボリビアは1879年、チリに仕掛けられた「太平洋戦争」に敗れ、現在の智アントファガスタ州など広大な太平洋岸領土を奪われ、内陸国になった。以来今日まで「海への出口奪回」はボリビアの悲願であり、モラレス元政権は国際司法裁判所に提訴して争ったが、領土奪回は叶わなかった。

▼殺害された37人は英雄

 ボリビア国会下院は11月18日、昨年10~11月にクーデター派によって殺害されたモラレス政権支持派37人を「国の英雄」とする決議を採択した。

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