キューバのヘンリー・リーブ医療団が創立15周年

   社会主義キューバが誇る「ヘンリー・リーブ国際災害疫病専門医療団」が9月19日、創立15周年を迎えた。2005年8月下旬、ルイジアナ州をはじめ米南部メキシコ湾岸を見舞い膨大な被害をもたらした大型ハリケーン「カトゥリーナ」の襲来を機に、故フィデル・カストロ玖国家評議会議長が発足させた。

  ヘンリー・リーブ(英語ではリーヴ)は1860~70年代の対スペイン第1次玖独立戦争に独立軍側で参戦した米青年の名。リーブは1850年NYブルックリンに生まれ、69年訪玖し玖軍に参加。重傷を負いながら戦功を挙げ、73年准将になるが、76年戦場で武器弾薬が尽き自害、26歳の生涯を終えた。

  カストロは「国際協力主義者の走り」とリーブを讃え、新設した医療団にその名をかぶせ、ブッシュ米政権に、最大被災地ニューオーリンズへの派遣を申し出た。だが断られた。

   キューバの対外医療協力は、玖革命直後、対仏独立戦争を闘っていたアルジェリア独立軍に医療チームを派遣したのが最初。1979年にハバナで非同盟諸国首脳会議が開かれ、議長に収まったカストロは、非同盟28カ国と医療協力協定を結んだ。

  以後、世界各地に医療団を派遣していたが、それをHR(ヘンリー・リーブ)医療団として制度化した。旅費、滞在費、医薬品など派遣費用は派遣先が負担するが、玖側が一部ないし全額を負担する場合もある。

  HR医療団は05年10月大洪水に見舞われたグアテマラに初出動、医療要員700人を送り込み、1300人の命を救った。

  次いで同月激震の起きたパキスタンに延べ2000人の要員を長期間送り込んだ。この地震では死者7万人、負傷者10万人、家屋喪失者300万人が出た。玖医療団は負傷者160万人を手当、手術を計1万4000回施した。ほかに一般患者16万6000人を診察、2000人の命を救った。

  2010年のハイチ大地震では、WHO(世界保健機関)は創立70周年を機に、HR医療団に「DRリ―ジョイク賞」を贈って表彰した。

  今年3月以降のコロナ禍COVID19との闘いでは、HR医療団52チームを編成、39カ国に派遣し、感染者計55万人を手当て、1万2500人の命を救った。延べ3800人の玖医療技術者が参加、その61%は女性。

  現在もHR医療団43チームが33カ国でコロナ禍に対応している。世界の多くの国は、今年のノーベル平和賞にHR医療団を推薦している。

  HR医療団は創設以来、46カ国5地域に派遣されてきた。対象国の内訳はラ米・カリブ(LAC)22、アジア太平洋5、アフリカサブサハラ13、マグレブ中東3、欧州3。地域はカリブ海にある英領4、仏領1。

  医療団は「我々は生命を提供する」と自賛している。

  このほか医療協力協定に基づきく、玖国際主義医療団が現在60数カ国に駐在、計2万6000人の医療技術者が働いている。この活動による玖国庫収益は年間60億ドルから110憶ドルで、観光産業、ニッケル輸出、海外からの送金と並ぶ重要な外貨収入源となっている。

 

 

   

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