キューバの通貨一本化作業「10月開始」の見方流れる

  キューバ政府が、通貨ペソ(CUP)と兌換ペソ(CUC)の2種類の通貨を一本化する政策を来年にも実施する可能性が出てきた。政府は2011年の新経済指針に通貨一本化方針を盛り込み、13年10月公式に一本化を決め、19年末にCUC使用を部分的に禁止した。

 ミゲル・ディアスカネル大統領は今年7月、通貨一本化のための最終的分析作業を開始すると明らかにしている。

 電子紙「ディアリオ・デ・クーバ」が9月7日付で報じたところでは、最近開かれた通過一本化を巡るセミナリオ(セミナー)で、ある経済学者 は「10月1日から6か月間(来年3月末まで)にCUCをCUPに両替するか使い切るかするよう国民に近く伝えるかもしれない」と述べた。同期間内、全国に展開されているCUC店は、CUC回収のため営業を続けるという。

 CUCは1990年代に国民の間に出回っていた米ドルを国庫に吸い上げるために導入され、今日まで流通してきた。交換率は1米ドル=1CUC =24~25CUPだが、昨年来、1ドル=1・5CUCなど、CUCの価値が下がっている。

 国営両替店CADECAは9月9日、CUCをCUPに替える人々の予想される殺到に備え、窓口要員の増加を政府に求めた。

 CUC廃止後は、米ドルとCUPの併存状態となるが、CUPの対ドル切り下げが予想されている。国営企業部門は従来、「ICUP=1米ドル」の等価を政治的に維持してきたが、キューバの生産力、経済力からすれば非現実的な為替レートであり、この見直しも急がれている。

 このような虚構によって、玖経済の統計は実勢を反映しない不正確なものなっており、それがマクロ経済の分析や経済計画策定の障害になってきた。

 通貨一本化に備え、最低賃金の上昇が見込まれるが、外貨準備という裏付けなしにペソ紙幣が発行されてきたため、物価上昇がひどくなっている。品不足、物資欠乏は日常的で、購買力に乏しいCUPしか持たない庶民は青息吐息だ。

 だが政府は今年7月、MLC(自由交換通貨。事実上、米ドル)のキャッシュカードでのみ物資を買える輸入物資などの小売店をハバナ、サンティアゴなどに開設。全国に拡げつつある。CUC廃止に備え、米ドルをはじめ外貨を国庫が直接的に吸い上げる仕組みである。

 米ドルなど外貨を潤沢に持つ富裕層と、そうでない庶民の「経済階級格差」が日々に膨らみつつある。このような不条理に異議を唱える若者らは弾圧を恐れず、SNSなどを通じ、全国各地で政府への非難や行動を激化させている。

 キューバの守護聖母カチ―タ(カリダー・デル  ・コブレ)の日の9月8日、サンティアゴを拠点とする反政府組織「玖愛国連合」(UNPACU)は全国で反政府、民主化、自由化のための運動「ひまわり革命」決行を計画した。だが弾圧され、約50人が逮捕された。

▼玖中央銀行が声明

 玖中銀は9月10日、「CUC廃止に伴うCUPへの両替が10月1日始まる」との情報を「正しくない」と否定し、「決定し次第、発表する」とする声明を出した。

 声明はまた、国民の預金口座のCUCや家庭などに置いているCUCに悪影響を及ぼすことはない、と述べた。

▼米送金会社がペソ払いを表明

 米電信・送金会社ウェスタンユニオン社は9月13日、CUCが廃止されたら、玖国外からの送金の支払いはCUPで行う、と明らかにした。従来はCUC払いだった。

 同社在玖支店網に届く米ドルなどの外貨は玖政府に渡される。同社が明らかにしたところでは、玖中央銀行は昨年10月、送金対象者に直接ドルで支払うよう求めてきたが、その後のさまざまな要因によってCUC払いが続いてきた。

 同社は支払いの際、10%の手数料をとっている。


 

 

 

 


 

 

 


 

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