アニェス元ボリビア非合憲暫定大統領の裁判は延期

    ボリビアで2019年11月10日起きた軍民クーデターの翌日、非合憲政権の暫定大統領にお手盛り就任したジャニーネ・アニェス元上院議員(54)を被告とする初公判は2月10日、政治首都ラパスの反腐敗裁定第一法廷で開始される予定だった。だが、この審理開始手続きに手続き上の不備があったして同日、初公判は無期限延期された。     同クーデターでエボ・モラレス大統領が追放されたため、憲法規定では、政権党で国会第一党MAS(社会主義運動)から暫定大統領が選ばれなければならなかった。だが野党上院議員で、上院第2副議長だったアネスはクーデターの勢いに乗って、MASの上位有資格者を押しのけ暫定大統領就任を宣言した。     アネスは2020年11月、アルセ合憲政権発足直後にブラジルへの逃亡を謀り、国境で逮捕された。     検察はアネス被告を、大きく分けて①クーデター加担および虐殺許可②憲法違反による政権奪取、の2点で起訴、禁錮10年を求刑している。アネスは無罪を主張してきた。     アネスとともに、クーデター時の国軍参謀長、陸海空3軍各司令官も起訴されている。また国外逃亡中の当時の国軍総司令官と国家警察長官も起訴されている。軍人らはいずれもクーデター関与や虐殺関与で起訴されている。     アネスは今後半前日の9日、拘置所で断食ストライキに入った。クーデターの起爆剤となったサンタクルース州財界や同州現知事ルイス・カマ―チョらアネス支援派は10日、開廷前にラパスでアネス支援デモを決行。同時に政府派もデモを展開、警察機動隊が出動し、騒然とした空気となっていた。     「手続き上の不備」が公判延期の理由とされたが、延期は、ルイス・アルセ大統領のMAS現政権に痛手だ。三権分立とはいえ、政権の権威が十分でないことを曝け出したからだ。     なおクーデターには、ボリビアのリチウム資源確保を狙う南ア系米国人実業家イーロン・マスクの思惑も絡んでいた。

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言