ハイチ;暗い一年を終え、一層展望暗い新年へ

     ハイチはジョヴネル・モイーズ大統領が7月暗殺されるなど、最悪の2021年を終えようとしている。12月29日には首都ポルトープランスで、極度の治安悪化、アリエル・アンリ暫定政権の「無能」、次期正統政権樹立のための選挙実施の具体的展望がないこと、などに抗議するデモが展開された。

    とくに身代金目的の拉致・誘拐事件は今年1002件の上る。うち81人は米国、カナダなど6か国の外国人だ。身代金が支払えずに殺害された人質もいる。

    国中に縄張りを定めて跋扈する多くの武装暴力団は、誘拐、麻薬取引、請負殺人、土地奪取、武力抗争などに明け暮れている。

    暴力団は政財界や地方の有力者と結びついている場合も少なくない。警察は人員数や組織で劣り、手が出せない。警察が有力者と癒着する場合もある。

    人権団体「デフェンダー・プリ」は、2022年は一層悪い年になると展望する。理由は、①国会上下両院が議員の任期切れによる退任と、選挙が実施されていないことから新議員がおらず閉鎖されている②次期正統政権が決まっていない③判事の多くが任期切れで退任し司法権限が大幅に停止しているーこと。

    法廷は事実上、閉鎖に追い込まれており、治安悪化に拍車をかけている。

    「全国人権擁護センター」によれば、暴力団は2021年に支配を強め、国土の60%を支配している。警察が無力なためでもある。暴力団による殺戮攻勢で、貧困地域から数万人が追い出された。こうした事件の背後には必ず、利益・利権を得る者がいる。

 

  

 

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