明日左右対決のチリ大統領選挙決選

   極右弁護士ホセ=アントニオ・カスト下院議員(55)と、穏健左翼のガブリエル・ボリッチ下院議員(35)が対決する決選投票は12月19日実施される。

  11月21日の第1回投票には7人が出馬、得票上位2人が決選に進出した。支持率調査の発表は、選挙法により決選15日前(今回は12月4日)まで可能。11月下旬から4日までに公表された調査結果は、ボリッチ優勢。

  カストが醸す「ピノチェー独裁ノスタルジー」が、多くの有権者に危機感を募らせたからだ。極右仲間のジャイール・ボウソナロ大統領の国ブラジルの国旗には「秩序と進歩」の文字が刻まれているが、カストは選挙戦最終日に、この言葉を唱え、「鉄の治安」を敷く公約をあらためて示唆した。

  チリにはナチ残党の逃亡者が少なからず亡命したが、カストの父親はナチ党員だった可能性を示す記録がドイツに残っている。智独双方の調査報道が、それを明るみに出した。

  無論、治安を確保したうえで経済成長を果たすカストの公約を支持する財界、富裕層、中産上層、保守・右翼陣営と、生活向上を願う中流以下の有権者も少なくない。

  だが、自由を堅固にし、ほどほどの発展を維持しながら福祉国家を確立するという、ボリッチの公約になびく市民は多い。それが一連の支持率調査に表れている。 

▼支持率動向専門家は「ボリッチ勝利」と予測

  世論調査機関CADEMの調査責任者ロベルト・イシクソンは12月17日、「選挙法により我々は支持率調査結果を今月5日以降は公表できずにいるが、ボリッチが勝つと思う」と述べた。

  「第1回投票からの4週間のうち最も重要なのは、決選直前の最終週だが、ボリッチは野党諸勢力の支持を逸早く束ねた。これによりカストに8ポイント差をつけた」。イシクソンは、そう指摘する。

  「とりわけ14日の2度目の討論会でボリッチは明らかにカストを凌駕した。有権者への影響は大きい」とも観る。

  一方、ピニェーラ現政権の政権党連合「チレ、バモス」(レッツゴー・チリ)は17日、決選当日18時(日本時間20日午前6時)に最初の結果速報が出るが、「それをカストと共に待つことはしない」と明らかにした。極右のカストは、独自に「キリスト教社会戦線」としての選対本部を持つため、政権党連合は連合の中心にあるUDI(独立民主連合)党本部で結果を見守るという。 

    

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