米国境巡視隊がハイチ人難民を鞭?で追い払う

     米墨国境は3200㎞。中間地点の米テキサス州エルパソ市と墨チウアウア州フアレス市の「双子都市」が向き合う地点からメキシコ湾までの東半分は、国境河川リオ・グランデ、メキシコ名リオ・ブラーボの中間線が国境となっている。(リオ・「ブラボ―」は誤訳)

  この国境河川のテキサス州デルリオ市近郊の岸辺で9月19日、問題が起きた。同国境のメキシコ側にハイチ人を中心とする難民1万3000人が集結、徒歩で渡河し米国に密入国を試みている。

  その一部であるハイチ人十数人が米側岸辺に上陸したところ、米国境巡視隊の騎馬隊に追い散らされたが、その際、巡視隊要員の一人が馬上から鞭のようなものを振るってハイチ人たちを追い払う様子がビデオ撮影された。

  鞭か、乗馬用の鞭か、それとも手綱か、確認されていないが、米大統領政庁(ホワイトハウス)のジェン・サキ報道官は20日の記者会見で、「細かい情報は得ていないが、映像は受け入れられるものでも好ましいものでもない」と述べた。

  だがサキは、「(亡命者については法改正がなされたが)米入国書類を持たないハイチ人が国境に来るべき時ではない」と述べ、不法入国を引き続き取り締まる政府の方針を確認した。

  また同日、デルリオ市を訪れたアレハンドロ・マヨルカ米国土安全保障長官は、「米政府は安全で規律正しく人道的な移民受け入れを図っており、これ(大量越境行為)は取るべき方法ではない」と述べた。

 一方、米国境警備隊は20日、テキサス州マッカ―レン市に近いエディンバラの国境沿いのホテルの一部屋にホンジュラス人10人、エルサルバドール人5人、メキシコ人1人の計16人が滞在しているのを見つけた。

 同16人はメキシコから越境。越境業者に米内陸部に運んでもらうのを一か月近く待っていたところを摘発された。

 昨年10月から現在までの約1年間に米墨国境の米側で身柄を拘束された不法移民は154万人。昨年は46人弱だった。3倍以上に増えたのは、コロナ禍による生活苦が一因と見られている。

▼ハイチ人500人が玖島漂着

 ハイチ人難民約500人を乗せ米国に向かっていた大型ボートが故障し9月21日、玖島北岸のオルギン州モア港に曳航された。

▼米特使が抗議辞任

 米国務省のハイチ特使ダニエル・ホエトは9月24日、米国境巡視隊がこのほど騎馬隊を出動させ、米領内に入っていたハイチ人難民1300人をメキシコ側に追い払った事件の「残酷さ」に抗議して、特使を辞めた。ハイチ大統領が暗殺された7月から任務に就いていた。

  

   

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