グアンタナモ基地ではアフガン戦争は終わっていない

     アフガニスタン戦争は端的に言えば、「米・アフガニスタン戦争」だった。その原因となった、NYおよびワシントン郊外の米中枢部を狙った2001年9月11日の「米中枢同時テロリズム事件」から20周年が過ぎた。

  バイデン米政権は8月末、米軍を撤退させ、20年に及んだアフガン戦争は終わった。だがキューバでは終わっていない。南東部のカリブ海に開けたグアンタナモ湾の中心部を占める米海軍基地内に「アルカイダ容疑者」が依然39人も囚われているからだ。

  米国は、1895年に始まった第2次キューバ独立戦争に98年介入し、スペイン植民地軍を撃破してグアンタナモ湾を占領。20世紀初めキューバを形式的に独立させて属領化し、グアンタナモ基地を恒久的な軍事植民地にした。

  ここに2002年、ブッシュ政権はアルカイダ・ターリバーン容疑者強制収容所を建設、世界各地から連行してきた容疑者を最大779人収容していた。

  ブッシュ政権は532人、オバマ政権は197人を、それぞれ釈放。トランプ政権は1人だけだった。1人は釈放されたが、依然グアンタナモ基地内に留められている。9人は病死ないし自殺した。残りの39人が被告で、未決囚だ。

  バラク・オバマ元大統領は強制収容所閉鎖を公約したが、果たせなかった。ドナルド・トランプ前大統領は、その閉鎖方針を撤回した。ジョー・バイデン大統領は閉鎖する方針だ。ブッシュ政権期には、収容所を管理する米兵らによる凄まじい容疑者虐待が暴露され、大問題になった。

  39人のうちの一部を米本土の法廷で裁き、残りを釈放するという案がある。被告5人は10日、グアンタナモ基地内の軍事法廷での審問に臨んだ。体調の良くない収容者もおり、これ以上未決のまま収容し続けるのは人道上も許されまい。

  収容所が閉鎖され、収容者がいなくなるまでは、米国のアフガン戦争は終わらない。また、グアンタナモを米国に奪われているキューバにとっても終わらない。無論、キューバにとっては同基地を奪回し「国土回復」を果たさないかぎり、主権は全うされない。

▼ヴェトナム戦時米兵捕虜の「拷問者」死去

  ハバナの非政府メディアは9月10日、玖革命軍(FAR)軍事諜報局(DIM)員としてヴェトナムで米兵捕虜の尋問に当たったエドゥアルド・モレホーン=エステーベス元大佐が最近、コロナ疫病COVID19で死去したと伝えた。米国防省は1996年の公開資料で、モレホーンを「拷問者」と指摘している。

  モレホーンは、マイアミに司令部のある米南方軍に所属した経験のある捕虜をとくに担当し、対米軍事侵攻計画などを聞き出そうとしていたという。  

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

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