AMLOメキシコ大統領が先住民ヤキ人に歴史的謝罪

     メキシコのAMLO大統領は9月28日、北部のソノラ州に住む先住民族ヤキ人に対し、16世紀前半以来500年(スペイン植民地時代200年、独立メキシコ時代200年)の間に犯された暴虐に謝罪した。これにより同大統領による先住民族への謝罪行脚は終わった。

  「メキシコ国家はヤキ人に対しても他のすべての先住民族や異文化集団に対しても、疎外、虐待、不正義を二度と再び繰り返してはならない。まず私たちは謝罪させていただきたい」。AMLOはソノラ州のヤキ人居住地を訪れ、そう述べた。

  この「先住民族への謝罪申し入れ」式典で大統領は、ポルフィリオ・ディアス独裁期(1877~1911)になされた先住民族迫害を恥ずべき蛮行と厳しく糾弾し、「スペイン人侵略者到着以来拡がった人種主義」と非難した。

  AMLOはこれまでに、マヤ人社会や、メキシコ革命中に北部で中国人移住者多数が革命軍に殺害された史実を踏まえ、中国人社会にも謝罪している。

  政府とヤキ共同体が共同で立案した「正義計画」に基づきAMLOは、ヤキに新たな土地の地権と水利権を認めた。メキシコ北部は砂漠など荒れ地が多く、水利は死活的に重要だ。この水利実現のため、政府は3億ドル投資する。

  ヤキ人側は式典でAMLOに対し、人口の10%を占める先住民族、およびアフリカ系国民を守るための改憲法案を手渡した。

  式典前日の27日、2カ月前に武装集団に拉致されたヤキ人5人の遺体が確認されている。先住民族を取り巻く社会環境は依然冷酷だ。

▼ローマ教皇が謝罪

  AMLOは独立200周年とスぺイン人によるアステカ王国征服500周年が重なった今年、メキシコ政府、スペイン政府、カトリック教会(ローマ教皇庁)が先住民族に過去の暴虐と蹂躙を謝罪するのを期待していた。

  だがスペイン国王フェリーペ6世は乗り気でなく、予定していた9月27日のメキシコ独立200周年記念日の式典参加を直前に取り消した。

  スペイン政府の言い分は、500年前のスペイン人の米州到達は、現代の思考法で判断したり裁いたりすることはできない、というものだ。

  これに対しフランシスコ教皇は27日書簡を通じ、「過去の過ち」を認め、メキシコの智での征服と布教の過程で協会が犯した人的・社会的罪への謝罪を申し入れた。

     一方、スペイン首都のあるマドリ―自治州のイサベル・ディアス知事(右翼)は滞在先のワシントンで28日、「カトリック布教団は米州に文明をもたらした」と述べた。彼女は数日前には、「先住民主義は新しい共産主義だ」と発言している。

   AMLOは10月1日、「スペインがしたことは忘れないが、許そう」と述べた。

  

  

 


   

  

  

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