墨都で第6回CELAC首脳会議開催、激論交わさる

     LAC(ラ米・カリブ)33カ国の「広義の南米」統合を理想とするCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)の第6回首脳会議が9月18日、メキシコ市中心部にある大統領政庁(国家宮殿)で開かれた。

  CELACは、故ウーゴ・チャベスVEN大統領の主導・尽力で2010年のメキシコ首脳会議で結成が決まり、11年12月、カラカス首脳会議で具体的に発足した。米州35カ国中、米加北米両国抜きのLAC最高国際機関となった。

  発足後の第1回首脳会議は13年チリ(智)で開かれ、14年キューバ(玖)、15年コスタ・リカ(CR)、16年エクアドール(赤)、17年ドミニカ共和国(RD)と続いた。だがラ米域内の分裂で18,19、20年には開催されなかった。その間、極右政権のブラジル(伯)が脱退。今回は4年ぶりに開かれた。加盟32カ国の首席代表は次の通り。

  大統領14カ国:墨グアテマラ/ホンジュラスCR玖RDガイアナVENスリナム赤BOL秘ウルグアイ/パラグアイ。(亜国大統領は国内事情により出席を取り止めた)

  副大統領1:エル・サルバドール。(VENは副大統領も出席) 

  首相5:ハイチ/ベリーズ/ドミニカ/セント・ルシーア/サンヴィセンテ&グラナディーン。

  外相9(10):ニカラグア/パナマ/バハマ/バルバドス/グレナダ/ジャマイカTT/セントクリストファー&ネヴィス/アンティグア&バーブーダス。(亜国外相は出席したが18日時点で更迭されていたため、代理が首席を務めた)

  副外相1:チリ。運輸相1:コロンビア。

▼AMLOがCELAC強化を呼び掛け

  輪番制議長のAMLO大統領は開会演説で、CELACをLACの中心的機関になすべしと訴えた。米加両国とは相互に敬意を払い主権を尊重し合いつつ、経済・通商関係を築くとし、欧州連合(EU)結成に至る前の欧州経済共同体(EEC)のような機関をまず創ろうと呼び掛けた。

  その根本的政策として、①内政不介入不干渉・民族自決原則の下で開発協力・相互支援関係をつくり、格差や差別を排する②メキシコは昨年(TLCAN/NAFTAを発展的に解消して)TーMEC(墨米加条約)を結んだが、このような基盤に立ってLAC生産力の強化を図るため、国連LAC経済委員会(CEPAL)や米州開銀(BID)などに協力を求めて改札計画を策定する③生産統合を果たし、福祉のために投資するーの3点を挙げた。

  マルセロ・エブラ―ル墨外相(副議長格)は、内政介入・不干渉原則に立ち、欠陥多い米州諸国機構(OEA)に替わるCELACの強化を図るべき時と訴えた。

  ボリビアのルイス・アルセ大統領は、「OEAは民主憲章に反し、反民主に動いた」と、19年11月のボリビアクーデターをOEAが支援した事実を指摘。「干渉主義のOEAを排し、CELAC強化を」と呼び掛けた。 

  ミゲル・ディアスカネル玖大統領は、「LAC200年の闘争の末に<われらのアメリカ>を象徴するCELACが生まれた」と、その意義を讃えた。また玖国産コロナワクチンの生産・配布をCELACと協力して行うべく提案した。

▼激論交わす

  ウルグアイ保守・右翼政権を率いるルイス・ラカージェ大統領は、「民主が不十分なベネズエラ、キューバ、ニカラグア」と発言。パラグアイの同系のマリオ・アブド=ベニーテス大統領は、「私の出席はマドゥーロVEN政権を承認したことを意味しない」と発言。「OEAとCELACは相互補完的であるべきだ」と述べ、メキシコ提案に異議を唱えた。

  これを受けてマドゥーロ大統領は、「ボリバリアーナ革命に続きキューバ革命、ニカラグア革命が責められている。LACを分裂させる意図がある」と述べ、「我々はここにいる何人かに投げる石を用意すべきだろうが、投石するために出席したのではない」と言い、「外交をイデオロギー化してはならない」と、故ウーゴ・チャベスVEN大統領の遺訓を挙げつつ、「強化された新しいCELACを創るためにやってきた」と強調した。

  そして「ウルグアイ大統領はOEAがモンロー主義で、CELACがボリーバル主義であることがわからにようだ」と反撃。パラグアイ、ウルグアイの両大統領に、「いつでもどこでも民主について議論するから日時と場所を定めなさい」と激しく詰め寄った。

  パラグアイ大統領は不快感に苛まれたのか、独り会議場から出た。

  発言を終えていたディアスカネル玖大統領は、ウルグアイ大統領に対し、「60年間にわたって米国の攻撃と経済封鎖に対し抵抗してきたキューバの現実をあなたは知らない」と反論した。

  するとラカージェは、反体制キューバ人らが歌っている「祖国も命も」の一節の歌詞を読み上げた。これに対しディアスカネルは、「ウルグアイ大統領は悪趣味の持ち主だ。それは反革命派が作った偽りの歌だ」と言い返した。

▼「LAC余裕空間局」創設決まる

  エブラ―ル墨外相は、域内の気候変動への対応と、コロナ禍に対応できる自力衛生能力づくりのため、1500万米ドルの基金をつくるALAE(LAC余裕空間局)創設を提唱。過半数の18カ国が賛成して、承認された。

▼カスティージョが外交デビュー

  ペドロ・カスティージョ秘大統領はいつもの農村帽と、ネクタイ無しの民俗風詰襟服で登場。民主、食糧安保、国民皆教育を訴えた。さらに、「ボリーバルやサンマルティンだけでなくトゥパック・アマル―の理想でもあったLAC統合の夢を実現させねばならない」 と強調した。

▼「メキシコ宣言」を採択

  CELAC首脳会議は9月18日、44項目の「メキシコ宣言」を採択して閉会した。宣言は、紛争の平和解決主義や内政不介入主義を含む国際規範に反する米国の対玖経済封鎖をはじめ一方的「制裁」措置を糾弾し、解除を要求した。また「主権防衛」を強調した。

  さらに、英占領下のマルビーナス諸島の亜国領有権支持、国際的気候変動対策枠組み支持、災害救援協力、ALAE創設なども盛り込まれている。

▼AMLOがマドゥーロ提案を拒否

  墨紙エクセルシオールが9月23日報じたところでは、CELAC首脳会議時にマドゥーロVEN大統領がAMLOに、「新しいCELACの本部をメキシコに置いてはどうか」と提案したのに対し、AMLOは「主役は演じたくない」と、提案を受け入れなかった。

  

  


  

  

 



 

   


 


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