ぺル―新政権の支持率はわずか39%

   8月6日公表されたDATUM世論調査の結果によれば、ペドロ・カスティージョ大統領の支持率は39%、不支持率は41%、20%は「わからない」だった。調査は今月初め実施された。

  「誰が真の統治者か」については、政権党PL(自由ペルー)党のブラディーミル・セローン書記長(党首)48%、カスティージョ大統領42%で、セローンが6ポイント上回り、「影の最高指導者」と見なす有権者が多いことがわかった。

   PL国会議員団長格のボセロ(スポークㇲパーソン)にこのほど、セローンの実弟ワルデマル・セローン議員が就任。セローン党首による党支配の意向が如実になった。

   検察が「テロリズム組織礼賛罪」違反容疑で捜査しているギド・べジ―ド首相には76%が反対する。また閣僚には「無能者が複数いる」を57%が認めた。

   カスティージョ政権の「透明性」については62%が「ない」、29%が「ある」と回答した。「報道の自由」は」67%が「制限されている」、27%が「自由がある」と答えた。

   以上のような数字から、カスティージョ政権の主要な不安定要因が、セローン党首とべジード首相にあることが確認された。

   PLの「雇われ候補」として大穴を当てた一途で純朴な農村教師カスティージョを、世智に長けたセローンと、その側近べジ―ドが牛耳っている、という構図を有権者の多くは描いているということか。

   政権発足からわずか10日、世論は新政権に「100日間の蜜月期間」を与えることなく、厳しく批判しているのだ。カスティージョ・セローン・べジ―ドの「権力の三角形」に真摯な改善がなければ、黄信号が赤信号に変わるのは時間の問題になるだろう。

   1990年のフジモリ政権発足以来31年続いてきた保守主義にして新自由主義経済路線のペルー社会の支配権を手放したくない富裕層および穏健派市民は、カスティージョ政権の舵取りを危惧している。事態が放置されれば、危惧は敵視に変わるはずだ。

   国会でも政権党と支持勢力は議席が3分の1にも及ばない。反対派は大統領を追放できる数の力を秘めている。カスティージョら政権指導部に求められるのは、理想主義を踏まえた現実主義と実利主義だろう。

   大統領の活路は、セローン、べジ―ドらPL左翼陣営と袂を分かち、国会内で中道・中道左翼の連立体制を築くことだ。難しいが不可能ではない。その努力過程が始まれば、国会内で保守・右翼勢力との鬩ぎ合いが激化するのは疑いない。

        そのような状況下で6日、エコノミストのエルナンド・デ・ソトが大統領顧問になる可能性が浮上した。デ・ソトは、フジモリ政権期に経済顧問としてペルー経済を民族主義から陣自由主義に転じさせた人物。今年の大統領選挙に出馬したが、第1回投票で落選した。

▼ペルーが「リマグループ」を脱退

   エクトル・べハル秘外相は8月6日、ぺル―は内政干渉に反対する外交方針に基づき、「リマグループ」(グリマ)を脱退する、と発表した。グリマは米政府の意向に沿って、マドゥーロ・べネズエラ政権打倒外交を展開してきた。

   だがメキシコ、アルゼンチン、ボリビアが離脱、トランプ米政権も終わって、弱体化していた。 

▼初の反新政権デモ行進

   カスティージョ政権に反対する保守系市民約2000人が8月7日、リマ市内を行進した。ギド・べジ―ド首相の更迭を求めるプラカードも目立った。 


   

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言