モンテシーノス受刑囚が別の刑務所に移される

        アルベルト・フジモリ元ペルー大統領の側近だったブラディミロ・モンテシーノス受刑囚は8月25日、身柄を首都リマ中心部から40㎞北方の海岸地帯にあるリマ州アンコン区のアンコン第2刑務所に移された。

       同受刑囚は、警察特殊部隊に守られた刑務所庁(INPE)職員によって護送された。最終的にモンテシーノスはアンコン第1刑務所に収監された。 

   これまで同受刑囚は、リマの外港カヤオにある海軍司令部構内にある国家安全保障に関わる犯罪者用の刑務所に収監されていた。だが今年6月から7月にかけて携帯電話を駆使してリマ市内の部下らと何度も通話し、6月6日の大統領選挙決選で旗色の悪かったケイコ・フジモリ候補を勝たせるよう工作した。

   決選での当選者決定はケイコ派による異議申し立てで異常に長引いた。勝って7月末就任したペドロ・カスティージョ大統領は、モンテシーノスの工作に怒り、携帯電話で外部と通話するなどの特権を剥奪。アンコン刑務所に身柄を移送した。

   大統領は25日、いかなる受刑囚も今後特権を享受することはない、と言明した。

   モンテシーノスは、フジモリ政権期に「プリメラ・ダマ」(ファーストレディー)役を務めたケイコをよく知っていた。「ケイコ政権」を誕生させ、フジモリとともに恩赦され出獄しようと計算していたとも見られている。

   カスティージョ政権は、カヤオの海軍基地内で依然刑期を送っているアビマエㇽ・グスマン受刑囚(センデロ・ルミノソ=SL=輝く道の最高指導者)、ビクトル・ポライ受刑囚(MRTA=トゥパック・アマル―革命運動の最高指導者)や、別の場所にある警察施設内の一戸建てに収監されているアルべルト・フジモリ受刑囚らの身柄をアンコンなど別の刑務所に移すことを検討中。

   海軍司令部は数年前から、最重要受刑囚たちのいる基地内刑務所の閉鎖を政府に要請している。カスティージョ政権は、モンテシーノスの選挙結果を変えようとした陰謀の発覚を機に、その身柄をまず移した。

   一方、ケイコは25日、父親の移送可能性を察知し、高齢で病弱の父の移送は「殺人行為になる」と警告した。

   なお、ポライは禁錮30年の実刑が来年満了、出所する見通し。


 

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