ハイチ大統領暗殺事件の細部が明らかに

   ハイチ大統領暗殺事件(7月7日未明発生)の細部が明らかになりつつある。コロンビアのカラコル放送が8月18日伝えたところでは、コロンビア人傭兵コマンドは事件前日の7月6日、ハイチ首都ポルト―プランスのマフィア、ジャアル・ロドルフェ邸に集合した。

  元司法省職員ジョセフ・バディオから作戦を授けられ、作戦決行手順を打ち合わせ、ロドルフェが用意した自動小銃などの火器類を渡された。計16丁で、20人を超えるコマンドの全員には行き渡らなかった。

  コマンドは5人ずつ4グループに分けられた。(註:すると計20人で、公式発表されてきた「26人」と矛盾する。)

  一行は、7日未明(真夜中)、車6台に分乗して、ジョヴネル・モイーズ大統領の私邸に向かった。途中、歩哨所で警官たちを射殺した。

  当初の計画では、モイーズ大統領の逮捕が目的だったが、バディオは殺害を命じた。コマンドは、司令役の元陸軍大尉ヘルマン・リベーラ、および元少尉、元軍曹、元兵卒各一人の幹部4人が中核だった。4人は現役時代、対麻薬作戦特殊部隊の隊員だった。

  モイーズ邸構内に入ると、警備の警官たちは従順だった。バディオは大統領殺害の証人を残さないため、大統領一族、警官、護衛ら現場にいた者全員を皆殺しにする命令を下していた。(註:従順だったため攻撃しなかったもよう。)

  大統領は妻と共に邸宅の2階にいた。コマンドのうちのピネーダというコロンビア人が夫妻に乱射、大統領は12発を撃ち込まれて即死、妻は重傷を負った。

  コマンドは邸内で掠奪し、巨額の現金の入ったカバン類を持ち出し、車に積んだ。この現金は、コマンドを募集したコロンビア人経営のCTU社(マイアミ拠点)のもので、コマンドへの報酬が含まれていた。(註:現金が事件に先立って邸内に搬入されていたのではないかという疑問がわく。この点は明らかにされていない。)

  任務を終えたコマンドは、現金を運ぶ車は別として、徒歩で邸宅の敷地外に出た。そのまま大統領政庁に向かった。そこでは新大統領が就任し、クーデターが完成するはずだったが、誰も就任しなかった。コマンドは新大統領の護衛になるよう約束されていた。

  エマニュエル・サノンという医師にして牧師が大統領になる野心を持っていたようだ。(註:その場にいたかどうかは定かでない。)

  明けた7日午後から警察による取締まりが始まった。コマンドの多くは、台湾大使館に保護を求めて駆け込んだ。だが逮捕された。(取締まりの結果、コマンド18人が逮捕され、3人が死亡し、5人が逃走中とされる。) 

▼ハイチ地震の死傷者増える

  8月18日、死者は2000人、負傷者は1万2000人に達した。

▼政府が容疑者情報に報奨金

  ハイチ政府は8月26日、モイーズ大統領暗殺事件の主要な容疑者で逃亡中の3人の逮捕につながる情報の提供者に6万米ドルの報奨金を与えると発表した。同3人は、判決破棄裁判所元判事ウェンデル・コク・テロ―、元司法省職員ジョセフ・フェリックス・バディオ、元上院議員ジョン・ジョエル・ジョセフの3容疑者。

▼検察がアンリ首相から事情聴取へ

   ハイチ検察は9月11日、アリエル・アンリ首相が7月7日のジョヴネル・モイース大統領暗殺事件の約2時間後、首謀者の一人バディオと携帯電話で会話した事実を追及するため、首相を14日に召喚すると明らかにした。電話局の通話記録でアンリの通話が明るみに出た。



  


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