ハイチ警察がコロンビア人15人、米国人2人を逮捕

        ハイチのジョヴネル・モイーズ大統領を7月7日殺害した武装集団のうち逃亡していた2人が8日、首都ポルトープランス南部のペシオンヴィル区に隠れていたところを住民により拘禁され、警察に突き出された。

  そのビデオ映像が公開されたが、2人は白人ないし白人系に見える。この時点で、容疑者集団は4人が射殺され、4人が逮捕されたことになった。

  ところが警察本部は8日の記者会見で、①犯罪に加担した武装コマンドは総勢28人②うちコロンビア人26人、ハイチ系米国人2人③コロンビア人は事件現場で3人が射殺され、15人が逮捕され、8人が逃亡中④米国人2人も逮捕されたーと発表した。当初、「4人が射殺された」と発表していた。

  記者会見の場に逮捕された要員たちは座った姿で並ばされ、襲撃に用いられた自動小銃、ライフル銃、弾薬類とともに撮影された。数万ドルの米ドル紙幣も押収されている。

  だが、「襲撃犯7人が射殺され、6人が逮捕されている」との警察発表もあり、情報は錯綜している。

  モイーズは、5mmから9mmの銃弾を眼、胸などに12発撃ち込まれていたことが判明した。襲撃時に邸内にいた大統領の娘ジョマリイはとっさに身を隠して無事だった。家事労働者の一人は犯人集団に縛られたが、銃撃は免れた。

  襲撃者集団は犯行時、英語やスペイン語を話し、米国の麻薬捜査局(DEA)の要員を名乗っていた。そのため警備をかいくぐって邸内に入ることができたらしい。警察は、邸宅を警備していた全員を尋問している。

  通常、大統領の邸宅周辺には最大100人もの警官、警備員らが配置されるが、事件当時、コマンドは抵抗らしい抵抗に全く遭わずに邸内に侵入している。

  DEAは直ちに関与を否定した。ハイチ駐在米国大使は、「犯行は十分に計画され、専門的集団が実行した」と述べ、「ビデオ映像があるが、犯行集団は外国人傭兵たちのようだ」と指摘していた。

  その映像は大統領の豪邸前に武装集団の一部が展開する姿を捉えており、公開されている。

  一方、クロード・ジョセフ暫定首相は8日記者会見し、外出禁止令は解除され、首都国際空港が再開し、経済活動も再開された、と明らかにした。だが戒厳令と国喪は続いている。

  大統領は自邸内の事務所にいたところを、背後から急襲されたもよう。血まみれで、左眼は撃ち抜かれていた。邸内は略奪されていたという。

▼コロンビアが捜査に協力

  ハイチ大統領を暗殺した襲撃部隊(コマンド)の大多数がコロンビア人と発表され、コロンビアは大騒ぎになっている。ディエゴ・モラ―ノ国防相は7月8日ボゴタでの記者会見で、「彼らは退役軍人と見られる」と述べ、捜査協力と事実確認のため国軍と警察の調査団をハイチに派遣すると明らかにした。

  コロンビア人らは6月末にハイチの隣国ドミニカ共和国に入り、同国から国境を越えてハイチに潜入したもよう。

  コロンビア紙エル・ティエンポによれば、逮捕されたハイチ系米国人は通訳としてコマンドに参加していた。同2人は、「襲撃目的は大統領を逮捕することで、殺害ではなかった」と述べたという。

▼暫定首相と「新首相」が対立か

  ハイチ駐在のヘレン・ラリメ国連代表は7月8日、ハイチのクロード・ジョセフ暫定首相と、5日にジョヴネル・モイーズ大統領に任命されたアリエル・アンリ新首相は権力闘争関係にあると、米人記者に指摘した。

  同代表は、アンリは宣誓式を終えておらず、ジョセフが今はハイチ政府を代表しているとの見方も明らかにした。ジョセフは正式に首相になるのを望んでいるという。

  一方、米国務省は8日、暗殺事件捜査への協力を申し出たが、ハイチ政府からその要請がない、と明かにした。また、9月26日の大統領・国会議員選挙の実施を支持する米国の立場も示した。 

    


  

 

  

 

 


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