米政府が玖革命軍相と内務省特殊部隊を制裁

   米財務省は7月22日、キューバのアルバロ・ロペス=ミエーラ革命軍相(国防相に相当、軍位は軍団大将、共産党政治局員)と、内務省国家特殊部隊(BEN)に対し、キューバで11日に起きた全国的な対政府抗議行動時に「過剰に実力行使し、抗議者を襲撃し逮捕するのに中心的役割を担った」として、制裁を科した。

 両者ともすでに財務省OFAC(外国資産管理室)の「制裁対象者」(SDN)名簿に記載されていた。

 ジャネット・イエレン財務長官は、「玖国民による民主探索と玖体制柔軟化促進を支援するため対玖制裁を続けてゆく」と述べた。

 ジョー・バイデン米大統領は。「この制裁は、ほんの始まりに過ぎない」と述べ、今後新たな制裁を科してゆくことを示唆した。

 同大統領はさらに、①死活的に重要な玖系米市民と対玖政策策定で協働してゆく②米政府は既に玖国民にインターネットへの接近機会を与えるため、米市民社会および民間企業部門と協議中③玖国民への支援を最大化するため、米国内からの送金方法を見直し中④領事業務拡充と市民社会との関係強化のため在玖・米大使館の人員を増やすーと述べた。

 米民主党内には、対玖経済封鎖やトランプ前政権が科した243項目の封鎖・制裁強化措置を解除・廃止するよう求める意見が少なくない。バーニー・サンダース上院議員は、その代表格だ。

 ▼キューバ外相が反駁

 一方、ブルーノ・ロドリゲス玖外相は22日、「米国には他国の高官らを一方的に制裁する権限はない」と前置きし、「根拠のない中傷的制裁は断固拒否する」と反駁。「米国務省は対玖糾弾宣言を強制しようと欧州・ラ米に圧力をかけている」、「USAID(米国際開発局)は専門企業に資金を与え、メディアに対玖虚偽情報を流させている」と非難した。

 キューバの基本的立場は、国連が決める制裁だけを認めるもので、したがって米国による制裁は一般的に「封鎖」と呼ぶ。ただし今回のように反論するため仕方なく「制裁」を使うことがある。

 玖政府は、米国から経済封鎖、「テロリズム支援国家再指定」など根拠の乏しい制裁、メディア攻撃を含む「非通常型戦争」を仕掛けられていると、国際社会に訴えている。玖側試算では、60年以上に亘る経済封鎖で受けた被害額は総額1478億5300万ドルに上る。

 同外相はまた、「もし米政府が真摯に玖国民のことを思っているならば、経済封鎖、内政干渉、虚偽情報拡散戦術を直ちに止めるべきだ」と述べた。

 米国からは、コロナワクチン接種用の小型注射器が17日にマリエル港に到着している。ミゲル・ディアスカネル大統領は22日、50万ドルを集め注射器を買い集めた対玖連帯運動の中心的存在「地球的保健同伴者」(GHP)に謝意を表明した。

 キューバは22日、昨年来最悪の一日当たりCOVID19感染者数7745人を記録し、65人が死亡した。デルタ型株が猛威を振るい、自国産ワクチン「アブダラ」の接種では対応しきれなくなっている。

 米国がキューバの「市民社会」との接触を重視しているように、キューバも米民間との交流に活路を見出そうとしている。

▼車庫販売を許可

 玖政府は7月22日、個人が車庫で物品を小売販売することを認可した。キューバ入国時に食品、薬品、石鹸などを年内無制限に持ち込めるようにした措置に次ぐ、消費活性化対策だ。

 家庭用品が中心で、使用済み品、中古品、新品の販売が可能。商業認可も自営業認可も不要で、緊急対応措置であることが窺える。買い出し旅行で外国から持ち込まれた物資の一部も新品販売対象に含まれるもよう。

 また、価格2500㌷(104ドル)以上の耐久消費財購入時の支払い方法緩和策も同日、発表された。  

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