キューバ大統領が「団結破壊を狙った」と抗議行動非難

    キューバのミゲル・ディアスカネル大統領(共産党第1書記)は7月12日、記者会見し、11日に全国約20カ所で起きた対政府・反体制抗議行動について所見を語った。会見は、ラジオ・テレビの全国放送で中継された。

   大統領は、「我々は業績と、革命で得た主権と独立を決して失わない」と強調。「行動を起こした中核的集団」については、「玖国民の団結を破壊し、政府と革命体制が築いた業績を貶めるために行動を起こした」と分析した。

   抗議集団の中に犯罪者がいたと前置きし、「行動は平和的でなく蛮行があった。警官たちに投石し、警察車をひっくり返すなどして何台も破損させた」と指摘した。あちこちで食料品店や外貨店を狙った掠奪事件も起きたが、これには大統領は触れなかった。

   抗議行動は11日11時半ごろ、ハバナ南西のアルテミサ州サンアントニオデロスバニョス市でSNSの呼びかけに集まった若者ら数百人が始めた。内務省軍特殊部隊「黒ベレー」が出動。大統領もハバナから急行し、抗議者たちと対話し、説得した。逮捕者も出た。

   その後SNSで全国に「抗議行動開始」の映像が伝えられ、西端のピナルデルリオ州から東部のサンティアゴ州まで抗議行動は波及した。

   大統領は説得を終えハバナに戻り、全国放送で演説。「革命を守るため街に出て戦え」と国民に呼び掛けた。この点については、「我々は国民同士の対決を呼び掛けたのではない。革命体制防衛と国民の権利を守るために呼び掛け、国民がそれに応じた」と説明した。

   キューバ全土はインターネットが断ち切られて住民同士の交信が難しくなり、静寂に包まれた。「これは偽りの静けさだ」と、抗議者は言う。逮捕された夫、息子、兄弟らのいる女性たちは、拘置所前に集結し、釈放を求めた。

   一方、共産党機関紙グランマは12日付紙面の記事で、「首都全区の市民は革命体制防衛のため街に出た。<革命派よ警戒せよ>の呼びかけに、たちまち人々は国会議事堂周辺に集結した。そして、<自由を><祖国も命も>などと叫びながら秩序を変え街を炎上させようと狙う米帝国主義への奉仕者である傭兵、ルンペン、反革命派の小集団に対抗した」と綴った。 

   ブルーノ・ロドリゲス玖外相は12日、米大統領安全保障担当顧問ジェイク・サリヴァンがキューバの反政府抗議行動を「表現の自由」として支持すると11日夜表明したことについて非難した。

   また玖外務省高官は、「我々は、いかなる代償を払ってでも革命体制を守る」と、SNSで表明した。

   全国で逮捕された者は数百人と伝えられる。だが民主団体によれば、逮捕者は58人。「サンイシドロ運動」(MSI)指導者で芸術家のルイス=マヌエル。オテーロ=アルカンタラ、反体制派指導者ホセ=ダニエル・フェレールら著名人も含まれている。

▼政治局会議にラウール出席

  グランマ紙は7月12日、共産党政治局の11日の会議にラウール・カストロ前第1書記(90)が出席したと報じた。ホセ=ラモーン・マチャード元第2書記(90)は中部のサンタクラーラ市に、ラミーロ・バルデス革命司令官(89)は東部のサンティアゴにそれぞれ飛び、州党会合を主宰したり、革命支持派デモの先頭に立ったりした。

    政治局を引退した革命第1世代の長老3人が要所要所に姿を現したのは、事態の深刻さを物語る。

▼国外からSNS操作か

  今回のキューバでの対政府・反政府抗議行動を誘発したSNSキャンペーンの一部が、スペインなど外部から発信されていたことがわかった。

▼米亜両国大統領が発言

  ジョー・バイデン米大統領は7月12日、キューバの11日の全国的な反政府抗議行動について「自由を願い、コロナ禍などの苦しみからの救いを求める叫びだ」と論評した。

  米大統領政庁ホワイトハウスのジェン・サキ広報官は、「キューバでの抗議行動は自然発生的なものであり、経済封鎖が原因ではない」としながら、★「我々は玖国民を直接的にいかに支援できるかを検討中だ」と述べた。

  ドナルド・トランプ前米大統領も発言、「立ち上がった玖国民を100%支持する」と語った。

  一方アルゼンチンのアルべルト・フェルナンデス大統領は12日、「キューバ情勢を真に気に掛けるのなら、経済封鎖をまず解除することだ」と述べ、暗に米国を批判した。同大統領は、この点で「AMLO墨大統領と一致している」と明らかにした。

   

 

   

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言