ペルー選挙戦互角で終わる:鍵は経済路線選択

   6月6日のペルー大統領選挙決選まで3日となった3日、両候補は50日を超える長い選挙戦を閉じた。これまでなされた多くの支持率調査を基に計算された非公式の予測によれば、左翼の新人ペドロ・カスティージョ50・4%、決選進出3度目の右翼ケイコ・フジモリ49・7%。わずか0・7ポイント差で、事実上の互角だ。

  戦いの本質は、民族主義経済路線への変更を唱えるカスティージョと、新自由主義路線維持のケイコという構図。それをケイコは「共産主義」と決めつけている。

  カスティージョ陣営は、リマ市中心部の「5月2日広場」で最後の大集会を開いた。農村教師カスティージョは、この国最大の労連CGTP(秘労働者総同盟)本部のバルコニーから演説。「人民の叫びは間もなく具体化する。イデオロギーや肌の色の違いで物事を観る時代は終わった。工業化された繫栄する国を造るために国の資源を奪回する政府を」と訴えた。

  また、制憲議会を開設し、1993年のフジモリ憲法に替わる新憲法を制定しようと呼びかけた。だが現行憲法が存続する間は、それを尊重すると述べ、自分と共産主義やベネズエラと結びつけるキャンペーンは偽りだと強調した。さらに、年末までに18歳以上の国民へのコロナワクチン接種を終える、と公約した。

  カスティージョはこの日、元ウルグアイ大統領ホセ・ムヒーカと遠隔対談した。ムヒーカは、カスティージョが決選進出を決めたときからの支持者だ。

  一方、元大統領の娘ケイコはリマ南方郊外のビジャ・エルサルバドールで最終集会を開き、「共産主義から国を救おう」と、いつも通り呼びかけた。作家マリオ・バルガス=ジョサの息子アルバロが「反共戦線」を象徴するかのように、ケイコの傍らに立った。

  ケイコは、「改革は無論必要だが、過去に戻るためでなく、未来に進むためだ」と強調。ポピュリストとの批判も物かは、零細企業支援に25億ドル、コロナ禍で家族が死んだ各家庭に2500ドルずつ支給するとの公約を再確認した。コロナ死者は18万5000人に達している。

  有権者は2520万人。コロナ禍状況下で、投票率がどれだけ伸びるが問題だ。

  支持率調査の公表は選挙戦とともに禁止された。CPI最終調査ではケイコ50・1%、カスティージョ49・9%で、0・2ポイント差でケイコが上回っている。

  

  

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