ケイコ派の背後に「モンテシーノスの影」

       ペルー最高裁リマ支部は6月25日、ケイコ党FP(人民勢力)が国家選挙審議会(JNE)に提出していた投開票文書保護の要請を却下した。さらに、提出書類に不備があり、3日以内に修正しなければ、この案件を閉じる(御蔵入り)と発表した。

  JNEは同日、検察代表の前審議員ルイス・アルセの規律違反についての審議を開始した。

  決選終了後のケイコ派の一連の異議申し立ての背後に、アルべルト・フジモリ元大統領の側近中の側近だったブラディミロ・モンテシーノス元補佐官の策謀がうごめいていたことが明るみに出された。モンテシーノスは国家諜報機関の長でもあった。

  ★フェルナンド・オリべ―ラ元内相は24日から25日にかけて、カヤオ海軍基地内の最重要犯罪者収監用刑務所にいるモンテシーノスが電話で画策していた事実を、音声記録とビデオ映像を公表して暴露した。

  それによると、モンテシーノスは6月10日、刑務所内の公衆電話で、かつての部下、ペドロ・ㇾハス退役少佐と通話し、保守派弁護士ギジェルモ・センドーンと接触するよう指示した。同日夜、元少佐はリマ市内で同弁護士と会合したが、その場でルイス・アルセJNE審議員(当時)の名前が出た。

  翌11日、JNEは、ケイコ派の「開票不正異議申し立て」書類の受理期限を延長すると発表した。

  ㇾハスは23日、ケイコの実弟ケンジ・フジモリ元国会議員と会合した。その日、モンテシーノスは再びㇾハスと通話し、弁護士センドーンにJNE工作をさせるよう新に指示した。

  ケイコの父アルベルトは2000年大統領選挙に強引に出馬、3選を果たしたが、モンテシーノスが国会議員買収工作をしているビデオ映像が暴露されたのをきっかけに失脚した。

  モンテシーノスは、ケイコが大統領になったら父親を恩赦すると公約していることから、ケイコの「決選勝利」が自身の禁錮刑短縮にも好影響を及ぼすと踏んでいるはずだ。

  元内相の告発に、カヤオの海軍司令部は25日、「モンテシーノスの通話は家族や弁護士とのやり取りだと承知しているが、(告発を受けて)調査する」と表明した。

  ケイコ党FPの多数派工作により国会で弾劾されたマルティン・ビスカラ元大統領は25日、「ケイコは三度敗れたが、敗者としていかに振舞うべきかをまだ学んでいない」と批判した。

  16年の前回大統領選挙決選にケイコは断然1位で進出しながら、2位進出のPPクチンスキに惜敗したが、敗北をまともには受け入れられず、国会でクチンスキを窮地に追いやって辞任させ、後継のビスカラを弾劾に持ち込んだ。ビスカラ発言は、この苦い体験を踏まえている。

   一方、メキシコのAMLO大統領は25日の記者会見で、ペドロ・カスティージョの勝利を認めない作家マリオ・バルガス=ジョサ(MVLL)を「保守反動だと」指摘した。

  MVLLは1990年の大統領選挙決選でフジモリに敗れて以来、フジモリ父娘を敵視してきたが、今回、ケイコを支持。ケイコ派の対カスティ―ジョ「反共攻撃」を支援した。

  また、米州諸国機構(OEA、本部ワシントン)の常設理事会(大使会議)のロナルド・サンダース議長(アンティグア&バーブーダ大使)は同日、「カスティージョ優位の開票結果が維持されるべきだ」と述べた。

▼モンテシーノスは12回通話

  ペルー海軍と刑務所庁(INPE)は6月26日、ブラディミロ・モンテシーノスの通話問題について合同調査した結果を発表。モンテシーノスは6月2日から25日の間に計17回ペドロ・ㇾハスに電話をかけ、うち12回通話した。あとの5回はㇾハスが留守だったのか、応答しなかったという。

  ある通話で、「ケイコの当落はどうでもいい。ただ落選すれば彼女は長期の禁錮刑に服役することになるからね」と発言している。

      国防省は27日、カヤオ海軍基地内にある最重要囚刑務所担当の要員4人を、モンテシーノスに通話の便宜を図った職務違反により更迭した。 

 

 

 

    

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