ラウール・カストロ前玖第1書記が90歳に

    キューバ革命の覇者ラウール・カストロ陸軍大将(前共産党第1書記、元国家評議会議長)が6月3日、満90歳になった。ミゲル・ディアスカネル第1書記兼大統領をはじめ支配層は一斉に祝意を表明している。

 ウラジーミル・プーチン露大統領、ニコラース・マドゥーロVEN大統領、ダニエル・オルテガNICA大統領らから祝電が届いている。

 玖大統領府歴史問題事務所は前日2日、ラウールの演説や会見発言などをまとめた『革命ーそれは最も美しい事業』2巻本を刊行した。大統領以下、政治局員、革命司令官、閣僚らにまず配布された。

 ラウールは食道癌、直腸癌、肝硬変に冒されている、という情報が流れている。無論、未確認情報だ。兄フィデルは2016年11月、90歳3カ月余りで人生を閉じた。死因は直腸癌と老衰だった。

 ラウールの業績は、兄が重病に倒れた06年7月末以降、政権を担い、破綻状態にあった経済の改革に乗り出したこと、対米国交正常化の実現、支配体制を制度化し支配的地位に期限を設けたこと、国外渡航の自由化、新憲法制定など。

 だが経済改革は緒(ちょ)に就いたばかり。必ずしも成功しておらず、国民には物資欠乏への不満が渦巻いている。また革命後ほぼ一貫して革命軍と内務省を指揮していたため、治安重視に傾斜しすぎ、自由の欠乏も国民不満の基にある。

 国民とりわけ若い世代には「脱革命」意識が強まっている。制度疲労の著しい「長すぎた革命体制」の矛盾は、かつてなかったほ度に顕在化している。そこをバイデン米政権下の保守勢力に付け込まれている。

 ラウールに残された役割は、健康の続く限り、子飼いの最高指導者ディアスカネルを支えて、大胆な経済改革に一時も早く着手させることだろう。

 

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