モンテシーノスの狙いは「対米工作」か

    ペルーでは、アルべルト・フジモリ大統領の元顧問ブラディミロ・モンテシーノス受刑囚が電話を通じて工作していた、決選結果変更を狙った陰謀事件の捜査が進んでいる。国防省は6月26日、捜査当局への全面協力を約束、検察庁は捜査を開始した。

   モンテシーノスは、携帯電話を3~4個所持し、外部との連絡に用いていた。刑務所施設内の公衆電話は家族や弁護士との通話に使い、その陰で携帯電話を駆使していた。

   28日には、モンテシーノスが米外交当局を通じて、「決選に不正があった」との声明を出させようと画策していたことが明らかになった。

   そのためペドロ・ㇾハス元少佐を使って、弁護士やケンジ・フジモリ元国会議員に接触させた。モンテシーノスは、リマの米大使館および、ワシントンでのペルー大使館筋などを通じての米国務省当局者との接触を促すべく指示していたもよう。

   在秘・米大使館は、ペルー選挙当局の職務遂行への悪くない評価を表明している。モンテシーノスらの裏工作を察知していたかどうかはわからない。

   モンテシーノスは対米工作案と併せて、国家選挙審議会(JNE)の審議員3人を買収する「代替案(B案)」も温めていたという。審議員は全部で5人であり、3人を味方に付ければ、ケイコに有利な判断を下せることになる。3人には一人当たり100万ドルずつ渡す方針だったという。

   検察は7月半ばまでにㇾハスとモンテシーノスを尋問する。

   ペルーには、「いかにも影響力があるかのように振舞いたがっている」と、モンテシーノスを厳しく評する見方もある。

   ペルーは6月29日を迎えており、次期大統領が未定のまま、7月28日の新大統領就任期日まで1カ月を切ってしまった。

   一方、ケイコ・フジモリは28日、大統領政庁を訪れ、フランシスコ・サガスティ暫定大統領宛の書簡を渡した。米州諸国機構(OEA)など国際国際機関に決選結果判断について諮問するよう要請する内容と見られている。

   OEA本部は、ワシントンの米国務省の近くにある。「OEAへの諮問」は、「対米工作」戦略と密接に絡んでいると言える。

   ケイコは大統領との面会を望んでいたが、それは叶わなかった。モンテシーノスの工作が暴露されたことで、決選開票結果を覆しての「逆転当選戦略」は危い状態に陥っている。

▼カスティージョ当選発表に近づく

   国家選挙理事会(JNE)は6月29日までに、ケイコ派の開票集計表に関する異議申し立て27件を根拠なしとして却下した。残る件数すべての処理(却下)が終わり次第、カスティージョ当選が発表される見通し。

▼秘TV2局が報道倫理違反

   秘報道理事会倫理審議会は6月29日、決選選挙戦・投開票過程でアメリカTV、カナルN(Nチャネル)の2テレビ放送局が、ケイコに有利な報道を続けたとの判断を下した。

▼PL党首の公職追放確認

   秘ウアンカべリカ州都ウアンカベリカの控訴裁は6月29日、自由ペルー党のブラディーミル・セローン書記長に先に言い渡されていた「公職追放4年間」の刑執行継続を確認した。これは6月9日、この刑を下級審が無効としたのを覆すためになされた司法措置。

   フニン州知事2期目にあったセローンは19年8月5日、利益相反罪で有罪となり、知事を解任され、公職を4年間追放された。このため21年大統領選挙に出馬できず、党員でなかったペドロ・カスティージョを候補に招いた。

    

   

   

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