ペルー軍部元高官らが「開票不透明性」で異議唱える

     ペルー大統領選挙決選(6月6日実施)は、当選者が公式に決まらないまま1週間が過ぎる異常事態に陥っている。

  9日夜(日本時間10日朝)、国家選挙過程事務所(選挙庁=中央選管=ONPE)は、ペドロ・カスティージョ(51)が6万8000票差でケイコ・フジモリ(46)を凌いでいるという最終開票結果を発表した。

  これに対しケイコは、選挙裁判所でもある国家選挙審議会(JNE)に「開票不正」を訴えた。JNEは「不正」の訴えを9日までに限って受け、現在、当該アクタ(開票集計表)を精査している。

  敗北を認めないケイコの在り方を、「トランプ型」と形容する論評が、ペルージャーナリズムに目立ちつつある。

  昏迷状態が進行、両候補の陣営はリマ市内に待機し、公式発表を待っている。そんな状況下の14日、陸海空3軍司令官経験者である退役将官約60人が連名で、開票過程が不透明だと異議を唱える声明を発表した。

  その筆頭は、フランシスコ・モラレス=ベルムーデス元軍政大統領が占めている。モラレス=ベルムーデスは1975年、米国と謀ってべラスコ=アルバラード将軍大統領の「軍事革命政権」をクーデターで倒した。

  南米軍事政権諸国の「コンドル作戦」に加担し、左翼暗殺などの人道犯罪に関与した。このため国際刑事裁判所から終身刑を言い渡された。

  近く満100歳に達する元軍部高官の最長老で、今回の決選投票も車椅子で投票所に行き、投票している。

  声明は、「開票過程は透明性に欠け、異常で、不正があり得る状態だった」と指摘。ケイコ陣営に利する内容になっている。

  これに対し、カスティージョ陣営の法律顧問フリオ・アリビスは14日、「クーデターを醸すような声明だ。退役軍人は介入すべきでない」と反駁している。

  また同陣営の自由ペルー(PL)党は同日、「カスティージョが勝っている選挙区の票を無効にするという画策は絶対に受け入れられない」と表明した。

▼国防省が退役軍人声明に遺憾表明

  国防省は5月14日、「軍部の名前を政治目的に使ったのは遺憾だ。声明と国防省とは全く無関係だ。何らかの措置をとる」と表明した。



コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言