ペルー決選:ケイコ陣営、「再収監なし」で勢いづく

      ペルー社会は、大統領選挙決選から2週間が過ぎてもの勝者が決まらず混迷の度が深まっている。そんな状況下の6月21日、法廷判事は、仮釈放中の候補ケイコ・フジモリ(46)の再収監を求めた検察の要請を却下した。

  ケイコは、今回を除く過去2回の大統領選挙で決選まで進んで敗れたが、これら両選挙で用いた選挙資金に含まれていた120万ドルが伯建設大手オデブレシ―(オデブレヒト)社からの賄賂で、それを選挙資金に回したことから「資金洗浄」、「組織犯罪」として19年に起訴され投獄された。

  1年を超える収監を経て仮釈放され、今選挙に出馬し、三度決選に進出した。その当選者が決まらない間、禁錮30年の実刑を求刑したい構えの検察は、法廷にケイコの再収監を求めていた。法廷は、「検察の要請には根拠がない」として却下した。

  無罪になったのではなく、裁判が再延期されただけだが、ケイコは大統領になれば、任期の5年間は不逮捕特権を享受できることになる。落選すれば収監される公算が大きい。

  当面、再収監されないことになったケイコの陣営は勢いづき22日、国家選挙過程事務所(ONPE、選挙庁=中央選管)に対し、決選投票に参加した有権者の名簿ないし住所録の開示を目的とする「文書保護」を法廷に要求した。投票結果を精査するためという。

  同陣営はまた、ONPE(オンぺ)の上部機関で選挙裁判所でもある国家選挙審議会(JNE)に対し、決選開票結果に関する異議申し立て書類提出期限を延長するよう求めている。

  決選投票を振り出しに戻すようなケイコ派の動きに、「当確者」がいつ発表されるのかわからなくなり、ペルー社会の混迷と不満は高まる一方だ。

  そんな状況を静観していた米国だが、リマの米大使館は22日、「ペルーの制度を信頼し、JNEの判断を待ちたい」と表明した。これは、時間をかけて投票結果を精査すべきだ、との意思表示でもある。

  一方、ONPEの開票集計で優位に立つペドロ・カスティージョ候補(51)の支持者は、アンデス山岳・高原地帯など遠隔地からリマに駆け付け、自由ペルー(PL)党本部前に集結して、公式発表を待っている。

  カスティージョは、政財界人らとの会合を重ね、7月28日の就任に備えつつある。

▼軍事基地を開設

  ペルー軍は6月22日、山岳渓谷地帯のサンミゲル・デル・エネ村に対ゲリラ戦基地を建設、その開場式を挙行した。「センデロ・ルミノソ」(輝く道)の残党が5月、住民16人を殺害する事件が起きたのを受け、政府は急遽、基地建設を決めた。

 

  

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