ケイコは依然「不正」訴え、混迷深まる 

   ペルーで異常事態が続いている。大統領選挙決選から小一週間経った6月12日、ケイコ・フジモリ候補(46)はリマで外国メディア記者団と会見し、「不正開票は20万票ある」と強調。「外国共産主義が介入した」と証拠を示さずに指摘した。

  ケイコの狙いは「不正票を排除し、逆転勝利する」ことなのか、決選そのものを無効としたいのか、いまひとつ定かでない。ペルー社会は混迷の度を深めている。

  中央選管ONPE(オンぺ)は9日夜、100%開票で、ペドロ・カスティージョ候補(51)の得票が7万票近く上回っていると発表している。だがケイコの意義申し立てを受けて、「当確」判断はしていない。

  選管の上位にあって、選挙裁判所の機能を持つ国家選挙審議会(JNE)はケイコの申し立てを審理し、近く最終判断を下すことになっている。JNEは11日、異議申し立ては当初の期限だった9日以降も可能、と変更した。

     ケイコは保釈中の身であり、担当検事は身柄最収監を求めている。ケイコが「不正開票」告発に固執するのは最収監を先延ばしたいからとの見方も出ている。無論「逆転当選」すれば、5年の任期が終わるまでは不逮捕特権が認められる。

  検察はケイコに禁錮30年、夫にマーク・ビラネラに22年を求刑する構えだ。夫はイタリア系米国人で、ペルー国籍を取得している。裁判所は今月21日にケイコの処遇を判断すると見られている。 

  一方、イベロアメリカ(ラ米とイベリア半島諸国)の左翼・進歩主義の首脳経験者らがつくる「グルーポ・デ・プエブラ」(プエブラグループ)は11日、ペルー各方面に向けて「有権者の意思を尊重すべきだ」とする声明を発表した。ONPE発表で得票の勝るカスティージョを当選者と認めるべきだ、という立場だ。

  この声明には、ヂウマ・ルセーフ元伯大統領、ラファエル・コレア元赤大統領、フェルナンド・ルーゴ元パラグアイ大統領、エルネスト・サンペル元コロンビア大統領、ホセ=ルイス・ロドリゲス=サパテロ元西首相、アンドレス・アラウス元赤大統領候補らが署名している。

  2019年10月の大統領選挙に当選しながら「不正」をでっちあげられ翌11月、クーデターで追放されたボリビアのエボ・モラレス元大統領は、異議申し立てによって政変を謀っていると、ケイコ派を非難した。   

▼次期国会議席が確定

  JNEは6月12日、次期国会議席(定数130)を正式に発表した。

①自由ペルーPL(カスティージョ党)37②人民勢力FP(ケイコ党)24③人民行動AP16④進歩のための同盟15⑤人民刷新RP13⑥国よ前進を7⑦我らペルーSP5⑦ペルーは可能だPP5⑦共にペルーのため(ベロニカ・メンドサ党)5⑩モラードPM3。

 カスティージョ政権が発足した場合、政権党連合はPL37とメンドサ党5とで、42議席となる。定数の3分の1にも届かない。

 「カスティージョ政権」は必然的に「穏健化」を迫られることになる。

▼大統領経験者への終身年金制度を廃止

 秘国会は6月11日、廃止決議を賛成91、反対2,棄権15で可決した。 


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