玖反体制芸術家オテロ=アルカンタラ解放さる
現代キューバで最も有名な反体制芸術家ルイス=マヌエル・オテロ=アルカンタラ(33)が5月31日、当局による4月来1カ月半に及ぶ迫害から、ひとまず解放された。
オテロ=アルカンタラ(OA)は、ハバナ旧市街サンイシドロ地区に生まれた芸術家、フリージャーナリストらが「言論・表現の自由」を求めて活動する「サンイシドロ運動」(MSI)の指導者。
マイアミで2月発表され大ヒットしているラップ作品「祖国も命も」にカメオ出演している。同作品に参加した5人のラッパーのうちのマイケル・オソルボとエリエセル・マルケス(エル・フンキー)もMSIに参加している。
当局は第8回キューバ共産党大会があった4月、サンイシドロ地区にあるOAの自宅に侵入、OAが制作し自宅に展示していた絵画など造形作品十数点を破壊。OAを連行した。
MSIが昨年11月、会員のうち約300人を動員し、文化省前で政府の芸術政策に反対し抗議したのに続き、マイアミ在住のキューバ人ラッパー、ジョトゥエル・ロメ―ロら3人とオソルボ、マルケス両人の計5人が「祖国も命も」を発表し、内外キューバ人反体制派の象徴的作品となったことに神経を尖らせている共産党指導部が取締りに動いたのだ。
党大会で第1書記に就任したミゲル・ディアスカネル大統領(61)は、就任演説で反体制派取締まり強化を示唆する発言をしていた。
OAは当局に作品の賠償と謝罪を求めて4月24日、刑務所内で断食ストライキに入った。容体急変を恐れる当局は5月2日、OAの身柄を大学付属病院に移した。強制入院だった。
国際アムネスティ―、欧米政府、欧米メディアなどがOAの身を案じて解放を求めるキャンペーンを張った。OA問題は国際化した。
OAの動向に関する情報は遮断されていたが、5月31日、「退院」を許された。親戚宅に身を置き、メディアの取材に応じている。
入院には、断食ストで弱った体の回復という意味はあった。だが5月後半の2週間の入院は、まったくの監禁のための期間だったという。
OAの発言によれば、病室は24時間点灯され、常時3人の警察要員が監視したり尋問したりしたが、拷問はなかった。インターネット、メディア、電話、友人らによる見舞いは一切禁じられていた。例外は、親族の見舞いで、「5分間だけ距離をとって」だった。
退院直前、警察要員から「政治活動を止めろ。さもないと獄中で人生を終えることになる」と脅迫された。医師ら病院要員とは良好な関係だったという。
OAは、共産党一党支配や中央計画経済など「革命体制」に反対してきた。早くも活動再開の計画を練っているという。
※ユーチューブ「デモクラシータイムス 伊高 キューバ」の「難題山積するキューバ」を参照してください。
コメント
コメントを投稿