次期チリ大統領選で左翼・中道左翼優位の展望

     チリの次期大統領選挙は11月21日実施される。まだ8カ月余り先のことだが、立候補を予定している政党連合や個人は選挙戦をすでに展開している。

  最新の世論調査では、共産党(PCCH)を柱とする左翼政党連合「アプルエボ・ディグニダー」(私は尊厳を良しとする)のダニエル・ハドゥエ(共産党)が支持率17・9%で一番手になっている。

  この連合の正式名称は、「チレ・ディグーノ・イ・フレンテ・アンプリオ」(尊厳あるチリと拡大戦線=FA=)。

  ハドゥエはサンティアゴ首都圏のレコレタ市長。出馬は、8月ごろに見込まれている政党連合や政党の予備選挙で決まる。

  2番手は、右翼政党連合「チレ・バモス」(チリよ行こう)の中核を担う極右・独立民主同盟(UDI)のホアキン・ラビーン首都圏コンデ市長で、8・4%。

  次は、連合を組んでいない人本主義党(PH=パルティード・ウマ二スタ)のパメラ・ヒレス下院議員で、6・1%。進歩主義路線だ。 PHは以前、拡大戦線(FA)に加盟していた。

  続いて、5・7%のエベリン・マテイ首都圏プロビデンシア市長。UDI所属。5位はセバスティアン・シチェル元社会開発相で5・4%。「チレ・バモス」に個人参加している。

  6番手は、政党連合外の共和党(PLR)のホセ=アントニオ・カスト元下院議員で、4・4%。その後は、中道・中道左翼政党連合「ウニダー・コンスティトゥエンテ」(憲法制定連合)に加盟する社会党のパウラ・ナルバエスで、4・4%。バチェレ―前政権で官房長官だった。

  チリでは4月11日、新憲法を起草する制憲会議(起草会議)の代議員155人を選ぶ選挙が実施される。議長を除く154人は男女半々ずつと決まっている。

  昨年の国民投票で軍政憲法に替わる民主憲法の制定方針と、起草会議開設が決定したが、同投票は左翼・中道左翼・中道勢力の圧勝だった。起草会議選挙でも同勢力が勝つことが予想され、そうなれば大統領選挙への趨勢がおおよそ決まる。

  2期目のピニェーラ現保守・右翼政権の不人気と新憲法制定機運の高まりで、大統領選挙は、左翼連合と中道・中道左翼連合が有利になると予測されている。

  その場合、両連合が以前のように大連合を組むことが出来れば、勝利は保証されるだろう。だが左翼、中道、保守右翼の三勢力に割れて三つ巴になると、1970年9月の大統領の再来となる。

  まずは4月の選挙を待たねばならない。

 

 


 


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