ボリビア検察は極右勢力にどこまで迫れるか
ボリビア検察庁は3月14日、前日逮捕されラパスに護送されたジャニーネ・アニェス容疑者の身柄を6か月間拘禁すべく裁判所に要請した。逃亡の恐れがあるからという。裁判所は15日、4カ月間の拘禁を認めた。
検察は13日、アニェスを「元暫定政権大統領」でなく、「元上院議員」として起訴した。クーデターにより発足したアニェス前政権を合憲政権と認めていないからだ。同容疑者はラパス市内にある女性拘置所に、また逮捕済みの元閣僚2人はサンペドロ拘置所にそれぞれ拘禁された。
アルセ政権下の検察は、アニェスおよび元閣僚、元軍部・警察高官を逮捕したり、手配したりしているが、これは彼らを断罪するためであると同時に、クーデターの起爆剤として組織的暴力事件を起こした極右ルイス・カマ―チョと父親らに迫るためだ。
息子カマ―チョは3月7日の統一地方選挙のサンタクルース州知事選に当選、次期州知事の立場にある。同州は富裕層、保守・右翼層の牙城であり、そこにアルセ政権の司法当局がどこまで迫ることができるかが中長期的な問題だ。
一方、2019年11月、軍部と国家警察に辞任を強要され、辞任してメキシコ、次いでアルゼンチンに亡命、昨年11月帰国したエボ・モラレス元大統領は13日、アニェスらを十分に取り調べ、罪を追及するよう検察に求めた。
モラレスは、クーデタ―前後の流血事件で死者36人、負傷者800人、不法捕者1500人が出たと指摘。アニェス政権はモラレス政権が13年余りの歳月をかけて築いていた経済を大きく傷つけたと糾弾した。
流血事件はとくに、アニェスが一時、治安部隊に取締まりをしないよう命じたため、死傷者が急増した。イバン・リマ司法相は、アニェスに禁錮最大30年を求刑する方針と明かにしている。
モラレスは、アニェス政権はカマ―チョ政権に等しいと指摘していた。
▼アニェスに新たな容疑加わる
ボリビア検察は3月16日、ジャニーネ・アニェス容疑者に、国会承認なしに国際通貨基金(IMF)から2400万ドルの融資を受け国庫に打撃を与えたことや、コロナ禍covid19対策を理由に言論の自由を制限したことなど4つの容疑を加えた。
一方、クーデター実行に加担した容疑で手配されていた元陸軍司令官パストール・メンディエータ退役将軍は16日自発的に出頭、逮捕された。
▼OEA総長追及を検討
ボリビア政府は3月16日、米州諸国機構(OEA)事務総長ルイス・アルマグロ(元ウルグアイ外相)を法的に追及する検討に入った。
米国務省べったりのアルマグロは、2019年10月のボリビア大統領選挙の投票終了直後に、根拠なしに逸早く「エボ・モラレス候補は過半数に達せず、決選実施へ」という情
報を流し、「不正開票」の可能性を醸した。それが極右の組織的暴力につながった。
その暴力が起爆剤になってまず国家警察が政府に反旗を翻し、軍部がモラレスに辞任を強制した。
▼ボリビアが伯米両国に内政干渉で警告
ボリビアのロヘリオ・マイタ外相は3月17日、ブラジル大使と米臨時代理大使をそれぞれ外務省に呼び、ジャニーネ・アニェス元クーデター政権首班逮捕を巡る内政干渉発言について抗議し、干渉を繰り返さないよう警告した。
▼アニェス拘禁を半年に延長
ボリビアの法廷は3月20日、ジャネニ―ネ・アニェス容疑者の身柄を4ヶ月から6カ月に延長した。理由は、証拠隠滅と逃亡の恐れがあること。拘置場所も、ラパス市内のミラフローレス刑務所に替わった。
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