ブラジル検察庁「ラヴァ・ジャト」捜査チームが解散

   ブラジル検察庁は2月3日、伯内外に波及した一大贈収賄事件「ラヴァ・ジャト」特別捜査検察官チームが1日解散したと明かにした。今後は組織犯罪取締活動検察官グループが同事件を担当する。

  同チームは、ヂウマ・ルセーフ政権下の2014年に結成され、伯大手建設会社オデブレシ―や国営石油ペトロブラスなどの絡み、内外の政治家ら多数が関与した贈収賄事件の解明に当たった。

  チームの中心にいたのはセルジオ・モロ検事で、同検事の最大の狙いは、ルイス=イナシオ・ルーラ=ダ・シルヴァの政治生命を断ち、労働者党(PT)政権に終止符を打つことだった。

  ルーラは大統領を2期8年務め、後継のルセーフ大統領の2期目任期終了後、再び政権に復帰する準備を進めていた。財界、軍部、米国と通じる伯保守・右翼勢力は、連続5期20年に及びかねないPT政権を潰すため、ルーラを汚職容疑で投獄、ルセーフを些細な嫌疑でリオ五輪直後の2016年8月末、国会で弾劾、解任した。 

  ルーラは当選確実だった18年の出直し大統領選挙出馬を禁じられ、極右の元軍人ジャイール・ボウソナロが当選、19年元日から政権にある。

  モロ検事はボウソナロ大統領から論功行賞として司法相に抜擢されたが、ボウソナロの息子の不正事件のもみ消しを巡って対立、更迭された。モロは過去を反省、20年後半からルーラに「和解」の歩み寄りを見せている。

  伯検察チームには、オバマ元米政権をはじめ米当局が協力、証拠情報などを提供した。その効力もあって、ブラジルではルーラ元大統領、国会上下両院高官、オデブレシ―社長ら要人多数が逮捕、起訴され、収監された。

  ルーラは法廷闘争で容疑の約半分は晴らしたが、依然保釈の身。だが22年の大統領選挙出馬を目指し運動している。ルーラが出馬を認められれば、再選を狙うボウソナロはコロナ禍対策の無策などで評判が悪く、当選が難しくなる。

  ラヴァ・ジャト事件で、伯国内では約500人が起訴され、200人弱が有罪となったが、国外ではアレハンドロ・トレード秘、リカルド・マルティネリ巴、マウリシオ・フネスESの各大統領経験者が投獄された。アラン・ガルシア秘元大統領は逮捕される当日、リマの自宅で拳銃自殺した。

  またアルべルト・フジモリ元秘大統領の娘ケイコ・フジモリ元国会議員(現大統領候補)も収監された。PPクチンスキ元秘大統領も関与、辞任に追い込まれた。他にもラ米諸国の多くの政治家らが摘発された。

▼ルーラに文書開示許可

  伯最高裁は2月9日、ラヴァ・ジャト事件を担当したセルジオ・モロ判事と検察団との話し合いの記録文書を、同事件で被告となったルーラ元大統領に開示することを賛成14、反対1で決めた。


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