エル・サルバドール選挙戦で銃撃、7人死傷

  エル・サルバドールでは2月28日、1院制国会の議員84人、全国262市長、262市の市会議員、および中米議会議員(約20人)を選ぶ大型選挙が実施される。これを前に極右のナイブ・ブケレ大統領の政党「新理念」(NI)党と、左翼のFMLN(ファラブンド・マルティ民族解放戦線)との間で激しい選挙戦が展開されている。

 そのような状況下で1月31日、首都サンサルバドール市内で、FMLNの同市長候補ロヘリオ・カナレス陣営の情宣車が3人組に銃撃され、FMLN党員2人が死亡、5人が負傷し病院に搬送された。

 警察は3人組を逮捕したが、うち2人は負傷している。この2人に反撃し負傷させたFMLN党員2人も逮捕されている。銃撃容疑の負傷者が入院した5人に含まれているか否かは不明。容疑者の一人は、保健省配属の内務省要人警護局員と判明している。

 FMLNのオスカル・ディアス書記長は、「1992年1月の内戦和平合意以来最悪の事件の一つ」と指摘した。また同党の二ディア・ディアス国会議員団長は、ブケレの不寛容な言動が今回の事件を誘発したと、大統領を糾弾した。二ディアは内戦中、伝説的なゲリラ幹部の一人だった。

 ラウール・メララ検事総長は全政党の党首に対し、2月1日会合し善後策を練るよう要請した。

 2期10年のFMLN政権の後を受けて一昨年就任したブケレは少数与党のため、最大野党FMLNと国会審議で対立してきたが、2月末の選挙ではNI党が躍進する公算が大きい。

 それを見越して強気の大統領はこの1月、恒例の和平記念式典を中止した。これにより、白熱する選挙戦と相俟ってNIとFMLNの間に一層険悪な空気が醸されていた。

 ブケレは昨年、組織犯罪撲滅のための予算1億900万ドルを国会で成立させるため、本会議場に重武装の陸軍部隊を配置するという暴挙に出た。

 ラ米でブケレは、ボウソナロ伯、ドゥケCOLの両大統領らと並んで評判が良くない。

▼対外債務膨らむ

 エル・サルバドール中銀は2月2日、同国の対外債務は2020年末、226億2253万ドルに達したと明かにした。昨年はコロナ禍対策費がかさみ、28億ドル強の記録的債務膨張を招いたため。21年には対外債務がGDPの94%にも達する可能性があるという。

 

  

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