バイデン次期米政権のラ米政策の要はJS・ゴンサレス

  ジョー・バイデン次期米大統領は1月8日、国家安全保障会議(NSC)西半球(ラ米・カリブ)局長に、コロンビア出身のフアン=セバスティアン・ゴンサレスを任命した。国家安全保障担当の大統領補佐官ジェイク・サリヴァンの直属となる。

 ゴンサレスはオバマ政権期に、国務省西半球担当国務次官補や、バイデン副大統領とNSC西半球局長の補佐官を務めた。

 コロンビア・カリブ海岸のカルタヘーナに生まれ、父親の仕事の関係で幼少時代からNYで暮らし、ジョージタウン大学を卒業した。米平和部隊員としてグアテマラで活動したこともある。

 バイデン次期次期政権のLAC(ラ米・カリブ)政策の課題は、移民、麻薬、貧困、「民主化」など。中米諸国に対しては、貧困・治安対策用に40億ドルを投下する。

 社会主義キューバに対しては、トランプ現政権が厳重化した対玖送金・旅行の制限を止め、オバマ政権が始めた「太陽政策」に戻る。マドゥーロVEN政権には、民主化を促しつつ、貧困国民支援を重点政策とする方針。

▼ベネズエラが「国家開発戦略的地域」設定

 ニコラース・マドゥ―ロVEN大統領は1月7日、同国大西洋岸領土に「国家開発戦略地域」を設定した、と発表した。これは東隣のガイアナが実効支配している「ガイアナ・エセキーボ地域」の領有権をVENが従来通り主張してゆく意思表明でもある。

  大統領は次いでアントニオ・グテラス国連事務総長に、同領有権問題でのVEN・グアイアナ対話の再開を支援するよう要請した。 

▼ニカラグアが「米国民主神話は崩壊」と批判

 ニカラグアのロサリオ・ムリージョ副大統領は1月8日、暴徒化したトランプ支持者らによる6日の米議会乱入事件を受け、「完璧な民主の国・米国という神話は崩れ去った。あるのは傲慢、虚栄、人種主義、絶対提優越主義だけだ」と厳しく批判した。

 このような見解はラ米全土に拡がっており、バイデン次期政権は、ラ米に対し「民主化」を訴えにくい状況が続くはずだ。米議会占拠事件は、まさにトランプ政権下の米国が「バナナ共和国」に成り下がった事実を余すところなく示したと言える。

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