ルセーフ弾劾の真相をテメル元伯暫定大統領が告白

  リオ五輪閉幕後の2016年8月末、ヂウマ・ルセーフ大統領を「国会クーデター」で弾劾し、暫定政権を握ったミシェル・テメル元副大統領の告白で、隠されていた事実が明るみに出た。最近刊行されたインタビュー集『<選挙>あるいは最良の<クーデター日誌>』の中でテメルは告白している。

 テメルは15年末、自身を含む政治家らの不正を追及しようとしていたルセーフ大統領に反感を抱き弾劾工作に着手、ルセーフが不注意から怠った些細な義務違反を理由に起訴しないまま弾劾裁判に持ち込み、暫定大統領に収まった。 

 ルセーフは11月6日、テメルの告白を受けて、「(16年当時)録音されたロメ―ロ・ジュカー上院議員の通話で<テメルは軍部に支援を要請、それを軍部は受け入れ、軍事クーデターに賛成していた。庶民の抗議行動を抑え込む狙いがあり、土地無し農業労働者運動(MST)を監視するためでもあった>と同議員が語っていたのがテメルの告白で裏付けられた」と指摘した。

 一方、ルーラ、ルセーフ両政権の政権党だった労働者党(PT)は、「テメル(副大統領)は2014年にルセーフ大統領とともに再選された時点で、弾劾によるルセーフ追い落としの策謀を開始していた」と論評した。

 テメル自身は、2015年時点でルセーフ大統領打倒のため軍部と接触していた、と明らかにしている。テメルもジュカ―もブラジル民主運動党(PMDB)に所属していた。

  テメルは18年元日、ジャイール・ボウソナロ現大統領に政権を引き継いだ後の3月、収賄罪容疑で一時収監された。500万ドルを超える賄賂を受け取ったととして起訴されていた。

 ルセーフ弾劾は、恥ずべき重大な汚点として伯現代政治史に刻み込まれている。

 ジャーナリスト、ホベルト(通称べト)・アルメイダは、ルセーフ追い落としの策謀には石油利権を狙う外国も関与しており、オバマ前米政権の副大統領だったジョー・バイデンも一枚かんでいた、と語っている。

 アルメイダはまた、ウラディーミル・プーチン露大統領はルセーフにクーデターの危険があると忠告したが、ルセーフはそれを防止する対策を取らなかった、とも述べている。

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