ボリビア次期大統領の身近でダイナマイトテロ発生。

    ボリビアの政治首都ラパス東部にある社会主義運動(MAS)党選挙対策事務所前で11月5日、手製ダイナマイト爆弾1発が爆発するテロ事件が起きた。事件当時、ルイス・アルセ次期大統領は同事務所内でMAS幹部らと会合していた。だが死傷者はなかった。

   10月18日の大統領選挙に出馬し3位で敗れた極右候補ルイス・カマチョ派の暴力活動家らの仕業と見られている。カマチョは昨年10月、エボ・モラレス前大統領が当選した大統領選挙を「不正」と根拠なしに主張し武装蜂起。全土に混乱を起こし、11月の軍・警察クーデターに繋げ、モラレスを追放した主人公。

  今選挙の結果判明後、牙城のサンタクルース州都サンタクルースデラシエーラと、コチャバンバ州都コチャバンバで、またも根拠なく「不正」を喧伝、蜂起を扇動した。だが内外の主要権威がアルセ当選を認めたため、武装決起は不発に終わった。

  しかし諦めず、その後も自動車道封鎖、ストライキなどで次期政権に揺さぶりをかけてきた。それらに続いて、ダイナマイトテロとなった。米大統領選で劣勢にあるトランプ陣営の「選挙否定」の言動が、ボリビアの極右に影響を及ぼしているのは否めない。

  アルセは11月8日就任するが、これを阻止しようと極右はあがいているわけだ。昨年の武装蜂起と政変によって、お手盛りで非合憲暫定大統領となった極右のジャニーネ・アニェスはアルセ当選は認めたが、その後の極右の違法行為を本気で取り締まってはいない。

  就任式まで2日余り、ボリビア国民は一抹の不安を抱えたまま当日を迎える。前日7日には、アルべルト・フェルナンデス亜国大統領ら、式典に出席する外国要人らが続々ラパスに到着する。過去1年間で右傾化した軍・警察の警備の「万全さ」にMASは疑いを抱いている。

  モラレス政権期に次いで再び政権党になるMAS内には、極右武装勢力に対抗してMAS独自の民兵団を組織する案も出ている。だが同党指導部は今事件後、民兵団を組織するつもりはないと否定した。

  一方、昨年11月の政変直後からラパスのメキシコ大使館に亡命していたモラレス前政権の閣僚2人が、安全性が確保されたため大使館(公邸)を出た。当初は閣僚5人と高官らが亡命していたが、2人は最後まで残っていた。

▼アルセが先住民族の「長」に就任

 ルイス・アルセ次期大統領とダビー・チョケウアンカ同副大統領は11月8日の就任椎を前に6日、ラパスおよびエル・アルト市郊外の大高原はティティカカ湖畔に近いティアナク遺跡の「太陽の門」前で、アイマラ、ケチュアなど先住民族の長老たちから「長」として認められ、祝福された。

 

 

 

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