ボリビア市民組織がアニェス前首班の逃亡を阻止

     ボリビア・ベニ州都トゥリニダ―の市民組織は11月23日、ブラジルに逃亡しようとしていた前非合憲政権の女性首班ジャニーネ・アニェスの出国を阻止した、と発表した。

  同州出身の極右アニェスは8日のアルセ新政権発足前に政治首都ラパスを離れ、トゥリニダ―に帰っていた。だが、昨年11月のクーデタ―からほぼ1年間の非合法政権下で起きた一連の市民虐殺事件で追及されるのを恐れていた。

  その追及が旧閣僚らに及び始めたため、トゥリニダ―の空港から小型機でブラジル国境に飛び、陸路入国しようと計画。だが逃亡を警戒していた政権党MAS派の市民組織に逸早く察知され、空港で搭乗を阻止された。ジャニーネは同市内の自邸に戻され、監視下に置かれている。

  クーデターに先立つ昨年10月以降、コチャバンバ州サカバ、およびラパス州エル・アルト市センカラでの両虐殺事件をはじめ、アニェス暫定政権が犯したさまざまな暴虐事件が追及対象に挙がっている。

▼大統領が国家警察を粛正

 ルイス・アルセ大統領は先ごろ、国家警察長官にジョニー・アギレラ大佐を任命し、将軍階級の上層幹部全員を一挙に退役に追いやった。昨年のクーデターの先鞭を切ったのが、彼ら上層部だったからだ。

 大統領は12月1日、国家警察学校で演説。警察官が国民大衆から出てきていること、任務が国民大衆のために働くこと、そのために憲政に忠実でなければならないこと、を忘れるなと訓示した。

▼モラレスがエル・アルト訪問

 エボ・モラレス元大統領は12月4日、政治首都ラパスに隣接するエル・アルト市を訪れ、先住民ら大群衆から歓迎された。モラレスは同日、米州諸国機構(OEA)に駐在するボリビア新大使には(腹心の)アルバロ・ガルシア=リネラ元副大統領が望ましいと述べた。

 モラレスはエル・アルト市にある国際空港からカラカスに飛び、VEN国会議員選挙の監視団に加わる。

▼2021年度予算を練り直し

 フレディ・ママ二国会議長は12月5日、アニェス非合憲政権が策定した2021年度予算を「現実にそぐわない」として取り消したことを明らかにした。

 議長はまた、アニェス政権下で犯された人道犯罪などでアニェスを裁くか否かについて、国会の憲法委員会が審議中と述べた。

▼軍部が虐殺資料提出へ

 ボリビア軍部は12月8日、昨年の政変過程で軍部が関与した2件の虐殺など重大な人権犯罪についての極秘資料を政府に提出することに同意した。11月8日のアルセ民主政権発足後、任命されたばかりの軍部最高幹部らは、資料提出に抵抗していた。

 一方、検察は9日、昨年の政変の起爆剤となった暴動首謀者ルイス・カマチョ、その父親、陸軍士官3人、警察幹部1人、計6人への捜査を開始した。容疑はテロリズム、暴動、陰謀。

▼アルセ大統領がブラジルで検診

 ルイス・アルセ大統領は12月13日、健康診断のためブラジルを訪れた。15日までの予定で、その間、ダビー・チョケウアンカ副大統領が大統領代行を務める。アルセは2017年、腎臓癌が見つかり、ブラジルの病院で手当てを受けた。

▼南米議会がOEA事務総長の嫌疑を調査へ

 南米議会(Parlasur=パルラスール)のオスカル・ラボルデ議長は12月20日、ルイス・アルマグロOEA事務総長が昨年10~11月にかけてのボリビア政変で果たした役割を調査すると明らかにした。

 アルマグロは昨年10月のボリビア大統領選挙で当選したエボ・モラレスの側に不正があったと証拠を示さずに発表。これが11月のクーデタ―の引き金になった。

コメント

このブログの人気の投稿

ラ米学徒、久保崎夏の思い出

『ホンジュラスに女性大統領誕生』公開のお知らせ

メキシコ外相が「メリダ計画」終了を宣言