チリ大統領がトランプを「潔く敗北受入れを」と説得

    チリのセバスティアン・ピニェーラ大統領は11月12日、中南部ビオビオ州都コンセプシオンでの記者会見で、米大統領選挙での敗北を認めないドナルド・トランプ大統領向けに発言、「友情ある説得」をした。

  「トラウマになるような政権移行があってはならない。米国だけでなく世界全体に影響を及ぼすからだ」と前置きし、「民主精神を尊重してほしい。それは勝利を気品をもって迎え、敗北を高潔さをもって受け入れることだ」と呼び掛けた。

  また、「当選者決定過程に宙づり案件があるのは承知しているが、その案件によって選挙結果が変わる可能性は極めて小さい。それゆえに、米民主過程が正常に進むことと、政権移行が民主的に行われることを希望する」と述べた。

  この国指折りの富豪ピニェーラは、ピノチェー軍政(1973~90)の流れを汲む保守・右翼・極右勢力を政治基盤とする大統領で、現在は2期目。だが昨年10月以降の激しい反政府行動を受けて、軍政憲法に替わる民主憲法制定の要求を潔く受け入れた。

  その結果、先月10月25日、新憲法制定の是非を問う国民投票で制定派が圧勝。来年4月11日、制憲会議議員選挙が実施される。

  バイデンの心証を良くしたい思惑がピニェーラにあるのかもしれないが、「暴君トランプ」への勇気ある説得は、ラ米諸国で称賛されている。ピニェーラはバイデン当確後、 逸早く祝意を伝えている。

★★★「バイデン米次期政権とラテンアメリカ」という分析記事を本日11月13日、「月刊LATINA誌電子版」に掲載しました。参照してください。

▼ピニェーラとバイデンが電話会談

 両者は11月17日電話会談し、バイデンはCOVID19 で経済が打撃を受けたラ米を支援することを伝え、併せてチリが民主憲法制定過程に入ったことを祝福した。ピニェーラは米国留学経験もあって米語を流暢に話す。バイデン当確後、最初に電話会談したラ米首脳となった。

 

 

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