元ゲリラ戦士らがコロンビア政府に命の保障訴える

  復員したコロンビア革命軍(FARC)の元ゲリラ戦士たちが生命の安全保障を同国政府に求めるため、全国各地から首都ボゴタに集結している。サントス前政権との2016年の和平実現後から翌年にかけ武装解除された元ゲリラ1万3000人のうち、234人が極右勢力から殺害されている。

 復員者たちの多くは新生政党FARC(人民革命代替勢力)の党員で、既に参政権を行使している。ところが和平に反対するウリーベ元大統領派の極右は、殺し屋や準軍部隊を使って元ゲリラ要員の殺害を続けてきた。人権活動家、環境保護運動家、労組幹部らも多数殺されている。

 同志たちの相次ぐ殺害にたまりかねた元戦士たちは10月半ば、和平時の集結地24カ所から首都に向けて抗議行進を開始した。31日から11月1日にかけて各地代表の約800人が到着している。

 アラウカ州内で仲間20人と小さな靴製造作業所を営む女性は、ボゴタで「命なくして平和も人生計画も家族もない」と訴えた。彼女らが作る靴の銘柄は「ピサンド・フィルメ」。「大地をしっかり踏んで」という意味だ。

 死と背中合わせの戦場で長年、戦闘、行軍、逃亡の生活を送った元ゲリラ戦士たちが辛くも得た平和な生活への思いと、「私たちが作った靴だから頑丈」という自信が窺える。だが、この作業所にも極右は押しかけ、仲間らを殺害した。

 政府の和平安定化顧問エミリオ・アルチ―ラは、「復員者たちから望みや要求を直接聴く好機だ」と1日表明した。同顧問は10月31日にイバン・ドゥケ大統領から、それらの声を報告するよう指示されたと明らかにした。

 FARC戦士の一部は和平時に、それを拒否し武闘を継続。さらに和平に応じた後、ドゥケ現政権が和平合意を順守しないことに怒り、再び武器を手にした一派もある。

 極右のドゥケは、ウリーベ元大統領の子飼いで、和平反対派だった。元戦士や人権活動家らの相次ぐ殺害事件を本気で取り締まる気配はなく、こうした「私刑」は野放しになっている。だがドゥケは今、弾劾を要求する署名運動に遭っており、強権的立場は従来より弱くなっている。

 しかし、復員者らの悲痛な声を耳にしても、真摯に対応するとは考えにくい。

 


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