トランプが「再選後ベネズエラで何かが起きる」と発言

   ドナルド・トランプ米大統領は9月25日、マイアミ郊外でのラ米系有権者との集票会合で、「私が再選されたらベネズエラで興味深いことが起きるから、注意してほしい」と述べた。これは有権者の歓心を買うためばかりでなく、マドゥーロVEN政権を威嚇する狙いをもつ。

  ニコラース・マドゥーロ大統領は米大統領選挙直前の10月に米軍関与の軍事侵攻がありうると厳戒態勢を維持しており、トランプの「再選後に何かが起きる」との発言を陽動作戦でもありうると見ている。

  トランプ政権は23日には、米国人がキューバで政府系宿泊施設を利用することを禁止。併せてラム酒など玖産アルコール飲料とアバーノ(玖産葉巻)の輸入を禁止した。これらの経済封鎖強化策も、玖系有権者の歓心を買う集票戦術だ。

  マドゥーロは25日、国軍作戦戦略部隊(CEOFANB)設立15周年式典で、「主権防衛のため」として、武器兵器類を国産化する政策を打ち出した。同部隊は特殊部隊で、今年5月、米国人ら傭兵部隊がVENに上陸侵攻した際、逸早く出動し傭兵らを制圧した。

  兵器国産化のため、「軍事科学・工業・技術理事会」が設立される。

  大統領はまた、ロシア、中国、キューバ、イランなど友邦や同盟国との協力態勢を強化してゆくと語った。

  一方、トランプに関する暴露本を6月に出したジョン・ボルトン元大統領補佐官は24日ラジオインタビューで、「トランプは(自分が支援している)VENの反政府勢力が何をしようとしているのかを理解せず、ひたすら自身への批判書が刊行されないことに関心を抱いていた」と述べた。これは小さいが、新たな暴露だ。

  VENでは12月6日に国会議員選挙が予定されているが、欧州連合(EU)はVENに外交使節団を派遣し、同選挙が公明正大に実施されるかどうか、EU選挙監視団を派遣すべきか否かについて調査している。

  この時期に合わせスペイン政府は、保守派前政権から任命された駐VEN大使を、サンチェス現政権任命の駐玖現大使と交代させることを決めた。保守派駐VEN大使は、自宅軟禁されていた極右政治家レオポルド・ロペス(LL)を昨年5月初めから大使公邸で匿ってきた。

  ロペスは暴力的政変を肯定する極右政党「人民意志」(VP)の最高指導者で、フアン・グアイドー国会議長が政治の師と仰ぐ党内上司。

  LLは2004年のチャベス打倒クーデターに関与して一時投獄されたが、恩赦で釈放された。だが14年のマドゥーロ政権打倒を狙った街頭暴力事件の首謀者として有罪投獄され、その後、自宅軟禁処分になっていた。

  ところが昨年4月30日自宅を脱出、米政府の支援を受けたグアイドー指揮の軍事クーデター決行に参加。クーデターは不発に終わり、LLはスペイン大使公邸に亡命した。

  スペイン政府は、駐VEN大使が交代しても、亡命者受け入れに関する外交協定に基づき、LLの身柄を公邸から追放することはないと表明している。

  

  

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