ベネズエラ主要野党勢力が選挙めぐり分裂

   ベネズエラ主要野党「まず正義を」(PJ)の元党首エンリケ・カプリレス前ミランダ州知事 と、同「新時代」(UNT)のスターリン・ゴンサレス国会議員はこのほど、トルコ当局者と会合し、12月6日のVEN国会議員選挙への両党の参加条件の一つ「国際監視団導入」でマドゥーロVEN政権と合意した。

 これは9月1日、トルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相がアンカラで記者会見し、明らかにした。カプリレスは、トルコのレジェップ・エルドアン大統領と並んだ写真を公開している。カプリレスらは8月下旬、トルコを訪れたと見られている。

  VENとトルコは同盟的関係にあり、トルコはマドゥーロ政権と反政府野党との間で仲介の労をとった。 

 カプリレスは2日、「我々野党は<政権ごっこ>をしている場合ではなく、選挙に参加すべきだ。同時に<政権>と<野党>であることはありえない」と述べた。トランプ政権の傀儡である「暫定VEN大統領」を自認するフアン・グアイドー国会議長に<政権ごっこ>を止めるよう求めたのだ。

 これに対し、トルコ外相の発表に不意打ちをくらわされたグアイドーは「彼らは我々の知らない間にマドゥーロ政権と話し合った」と怒り、カプリレスとゴンサレスを批判した。

 トランプ米政権のマドゥーロ体制否定・暴力的政変路線に乗ったグアイドーは、PJ、UNT両党を含む27野党・政治運動の選挙ボイコットを固めたとしていたが、それがほころんでいることが明るみに出た。

 カプリレスは「野党勢力代表(統一候補)」として、ウーゴ・チャベス前大統領とニコラース・マドゥーロ現大統領に大統領選挙で一度ずつ挑戦し、いずれも敗れている。

 「野党代表」の政治的地位にカプリレスにとって代わって収まったグアイドーは、暴力による政変を肯定する極右「人民意志」(VP)党に所属。米国に担ぎ上げられて2019年1月「大統領代行」就任を宣言したが、それには実効支配の実体/実態がない。

 カプリレスが<政権ごっこ>を批判した裏には、野党代表としてマドゥーロの対抗馬になるのは自分だとの自負とライバル意識がある。カプリレスは過去の反政府行動から参政権を剥奪されており、このまま進めば、グアイドーないし別の人物に「野党代表」に復活する可能性を封じ込められてしまうという焦りがある。

 おそらく、カプリレスは自身の参政権回復を選挙参加の条件に加えているはずだ。カプリレスは(トルコ当局者と会った)自分たちの行動の結果として「政治囚110人が解放された」と自負している。マドゥーロ政権は8月末、野党議員ら反政府活動をした者ら110人を恩赦で釈放した。 

 一方、主要野党ではないが、極右政治運動「ベンテ・べネスエラ」(ベネズエラよ来い)の指導者マリーア=コリーナ・マチャード元国会議員は1日、「(<大統領代行>就任宣言以来)19か月間、マドゥーロ政権を倒すことができなかった」とグアイドーを批判。

 さらに、マドゥーロ政権を倒すには、「米州相互援助条約」(TIAR、米州安全保障条約)発動と米州諸国機構(OEA)の介入が必要だと、<米州多国籍軍>の介入を望む立場を表明した。

 グアイドーは、カプリレスらの他、マチャードにも「反政府指導者の大同団結」を呼び掛けていた。それが、肘鉄をくらったわけだ。

▼大統領が暗殺の陰謀を指摘

 ニコラース・マドゥーロVEN大統領は9月1日、国営テレビVTVで、「トランプ政権が狙撃手らを使って私を殺す決定を下した。決して大袈裟な話をしているわけではない」と述べた。

▼「中間5党」が連合結成

 VEN伝統政党で1990年代まで2大政党として政権を担い合ってきた「民主行動党」(AD)、および新興政党の「変化を」(カンビエモス)、「進歩主義前哨」(AP)、「改革勢力」(FDC)は9月8日、(12月6日の)国会議員選挙を前に「民主同盟」を結成した。

 FDCは、エンリケ・カプリレス元PJ党首が結成した政党。

 

 



  

 

 

 

 

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