フォルクスワーゲン社がブラジル人道犯罪加担で賠償へ

   ブラジルで事業を長年展開してきた独社フォルクスワーゲン(VW)ブラジル法人は、伯軍事独裁政権期(1964~85)に同社が軍政の人権抑圧に加担したことを認め、賠償の意味を込めて、被害者への賠償や、人権抑圧の実態調査促進に資金を提供することになった。

  9月25日明らかにされたところによれば、同伯法人はサンパウロ州検察庁と以下で合意した。

  1680万レアル(約250万米ドル)を、伯VW社労働者協会に支払う。軍政期に迫害された労働者の生存者や遺族に渡される。

  このほか3600万レアル(約700万ドル)が、同社労働者が被った人権被害の実態解明に充てられる。うち1050万レアル(200万ドル弱)は、軍政期の人権抑圧の記憶と真実究明事業に回される。

  真実究明事業は、ヂウマ・ルセーフ政権期に専門委員会が設置され、かなり解明された。だが人道犯罪の責任者は罰せられないままだ。しかい同委員会の調査で伯VW社の人権犯罪関与が明るみに出た。

  また同3600万レアルのうちから450万レアル(約90万ドル)は、国立サンパウロ大学にに提供される。この資金は、軍政が処刑し大穴に投棄した遺体の身元調査および、軍政期の人権弾圧に他の諸企業が協力した実態の解明に使われる。

  同資金の残り2100万レアル(約400万ドル)は、軍政期に蹂躙された人権の「復権」のための活動資金に組み入れられる。

  伯法人を含むVW社と伯当局とのこの合意は、伯軍政期の人道犯罪と趣が異なるが日韓間の「元徴用工訴訟問題」の解決にヒントを与える可能性があると言えるかもしれない。

  

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