来年ホンジュラスで選挙、早くも公正性に危惧

  オンドゥーラス(HON=ホンジュラス)の国家選挙理事会(CNE)は9月12日、来年の総選挙日程を発表した。2021年3月14日に各党は予備選で候補者を決定、本選挙は11月27日実施される。

 総選挙では大統領、および国会議員128人、中米議会議員20人、298市長、2142市会議員を選ぶ。   

  だが政界は新選挙・政治組織法をめぐって荒れており、公明正大な選挙が実施されるか、危惧されている。それというのも前回17年の大統領選挙で、国民党のホセ・エルナンデス大統領が選挙規定を最高裁判断で強引に解釈変更して出馬し、不正な開票操作で「再選」を果たしたからだ。

 エルナンデスは13年選挙で初当選したが、麻薬汚染、腐敗、反対は弾圧などで不評だった。そこでジャ―ナリスト、サルバドール・ナスララは「反独裁野党同盟」を組んで17年選挙に出馬し、5ポイント差で当確と見られていた。ところがエルナンデス派は電脳開票を止め、後に開票が再開されると、エルナンデスが勝ったことになっていた。

 エルナンデスは憲法規定解釈を変えて出馬し、不正により「再選」されたが、大統領の再選や出馬回数を制限する明確な規憲法定が欠けているという法的不備がある。

 そこで国会は新しい選挙・政治組織法制定を審議したが、政権党の国民党(PNH)と、2大野党の自由党(PLH)および自由・再建党(LIBRE)が対立、法は成立しなかった。PNHは決選投票制導入や投開票技術刷新などに反対した。

 PNHがとくに決選に反対するのは、次期大統領選挙で3大政党候補がいずれも過半数得票に達することなく上位3位までを占めた場合、PLHとLIBREが連携してPNH候補を落とすことが可能になるからだ。

 エルナンデス自身、2013年の選挙前に「選挙倫理・公明選挙規約」に署名しながら、大統領就任後、これを守らなかった。それどころか、3選出馬を可能にするため、国会に審議を再三要求してきた。

 この国の政治は、マヌエル・セラヤ大統領がウーゴ・チャベスVEN大統領に接近し、再選希望を表明したことから2009年6月、保守・右翼勢力と米国が組んだクーデターで政権を追われた時から混乱してきた。

 この政変には、当時のオバマ米政権のヒラリー・クリントン国務長官が深く関与。セラヤは自宅からパジャマ姿のまま連行され、HON国内中部あるパルメローラ米軍基地から米軍機でコスタ・リカに運ばれ放置された。

 従来、選挙を管理していた最高機関の選挙最高審議会(TSE)は先に廃止され、代わってCNEと選挙公正審議会が中央選管の役割を担っている。いずれも主要3党から1人ずつ、計3人で構成されている。

 米政府はVEN、ニカラグア、キューバなどに「民主化」を求めて圧力をかけてきたが、米国関与の09年クーデターから17年の不正大統領選挙に至るHONの民主崩壊過程には口を閉ざしてきた。

 

 

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